2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11627
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 多喜 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | コレステロール / 小胞輸送 / オキシステロール |
Research Abstract |
第三年度目は、OSBPとCOG complexの関係性を、さらに詳しく解析した。これまでの解析では、OSBP RNAi条件下でも、COG complexに目立った異常は見られなかった。そこで逆に、COG RNAiによるOSBPへの影響を調べた。その結果、COG RNAi条件下ではOSBPのゴルジ局在が一部、減少していることが明らかになった。さらに、COG RNAi条件下ではOSBPの機能が減弱しているのではないかという仮説を立て検証したところ、OSBP RNAi条件下と同様に、COG RNAiによりゴルジ体のcholesterol量が減少していることが分かった。OSBPとCOG4が結合すること(以前の解析結果より)を考慮すると、COG complexはOSBPと結合することで、OSBPのゴルジ体へのtargetingを促進しており、ゴルジ体のcholesterol量を制御している可能性が示唆された。以上の結果より、OSBPとCOG complex(=OSBP-COG axis)はゴルジ体にcholeterolを供給する新しい分子機構であり、そのcholesteol供給を介してゴルジ嚢間逆行輸送を制御していることを明らかにした。 本研究は、1)OSBPがゴルジ体にcholesterolを輸送する脂質輸送蛋白質であることを初めて明らかにしたこと。2)COG complexがOSBPと協調的に機能することで、ゴルジ体のcholesterol levelを調節している可能性を示唆したこと。3)ゴルジ体へのcholesterol供給は、intra-Golgi SNAREが機能するのに必要なステップであることを示したこと。以上の3点において、非常に意義のあるものであると考えられる。 詳細なdataは省略するが、オキシステロールはOSBPのnegative regulatorとして作用し。ゴルジ嚢間逆行輸送を阻害することも明らかにしている。これはオキシステロールの新たな生理作用であり、血中でオキシステロールが上昇するアルツハイマー病などの病態では、特定の小胞輸送経路が阻害されている可能性を示唆しており非常に興味深い。今後の解析により、これらの病態発症機構におけるオキシステロールとOSBPの役割が明らかになることを期待する。
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