2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11629
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤川 雄太 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 蛍光プローブ / GST / ケミカルバイオロジー |
Research Abstract |
GST(Glutathione S-transferase)は第二相薬物代謝酵素として知られており、細胞内の活性代謝物や毒性代謝物などのグルタチオン化を触媒するダイマー型酵素である。GSTは主に細胞質型サブタイプとして、GSTα,GSTμ,GSTπが知られているが、特にGSTπは様々ながん細胞にて過剰発現が観察されている。このようなGSTP過剰発現は、がん細胞における多剤耐性機構に強く関わっていることが知られている。また活性を持たないモノマー型GSTπはアポトーシスに関与するJNKの内在性阻害剤であることが知られている。しかしながら細胞内GSTの活性がどのように制御されているか、これまで明らかとなっていない。それは細胞内で利用可能なGST活性検出法が開発されていないためである。私は昨年度、可視光領域に蛍光波長を有するGST活性検出プローブDNAT-Meを開発した。そこでがん細胞における抗癌剤耐性機構の一端を明らかにするために「プローブの改良」を行い、改良したプローブdiCl-DNAT-Meを用いて「生細胞におけるGST活性イメージング」を行った。まず「プローブの改良」では、生理的pHにおける化合物の蛍光特性の安定化を図った、蛍光団にクロロ基を導入した新規化合物diCl-DNAT-Meを開発した。また「生細胞におけるGST活性イメージング」の結果からは、従来の方法であるLysateによる活性測定法は生細胞における活性を正しく反映していないことが明らかとなった。これは細胞内にGST活性制御機構が存在していることを示唆する結果であり、活性検出蛍光プローブの開発なくして達成できなかったものと考えられる。今後は細胞内における制御因子の解明、およびその生理学的意義について、検討していく。
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