2006 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体の活性制御理論仮説を基盤とした新規合成リガンドの創製
Project/Area Number |
06J11632
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 賢一 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 医薬化学 / 核内受容体 / 前立腺癌 / アンドロゲン / 合成リガンド / ジフェニルメタン |
Research Abstract |
核内受容体はリガンド依存的に標的遺伝子の転写制御を担っており、癌や骨粗鬚症など様々な疾病の発症と進展にも深く関与している。本研究課題では、リガンド結合時の核内受容体の構造変化に基づく 「核内受容体の活性制御理論仮説」を基盤としたリガンドの創製研究により、核内受容体一般に通用するリガンド設計法の確立と有用な新規合成リガンドの創製を目的とする。 本研究では昨年度までに、独自に設計したリード化合物から野生型アンドロゲン受容体(AR)に対して、既存のアンドロゲンアンタゴニスト、ビカルタミドやヒドロキシフルタミドと同等の高活性を示すフルアンタゴニスト(1)を創製している。そこで本年度は第一に、これまでの構造活性相関を基とした構造展開により(1)のアンタゴニスト活性上昇を目指した。第二に、前立腺癌における薬剤耐性化機構の主要因である変異体ARに対するフルアンタゴニストの創製を計画した。様々な構造展開の結果、(1)の活性を上回るアンタゴニストの創製には至らなかった。しかし、野生型ARに対して高いアンタゴニスト活性を示す(1)が、薬剤耐性前立腺癌で最も高頻度に観察されるT877A変異体ARに対してもフルアンタゴニスト活性を示すことが確認された。これより、(1)は薬剤耐性前立腺癌治療薬の有用な侯補化合物であることが示された。 また、本仮説の一般的性を検証する為に、AR以外の核内受容体に対する合成リガンドの創製を計画した。核内受容体のリガンド結合部位は受容体間での相同性が高いことが知られている。このことから、(1)の基本骨格である二つの芳香環を適切なリンカーで連結した構造は、他の核内受容体リガンドの設計においても有用なファルマコフォアであると考えた。そこで、この基本骨格に該当するジフェニルメタン骨格に着目し、側鎖の修飾によりFXR、 PPAR、 VDR、 ARに作用するリガンドを創製した。
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Research Products
(2 results)