2008 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体の活性制御理論仮説を基盤とした新規合成リガンドの創製
Project/Area Number |
06J11632
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 賢一 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 医薬化学 / 核内受容体 / 合成リガンド / ChIP-chip / PPAR / 脂肪細胞分化 / エピジェネテイクス |
Research Abstract |
リガンドによる核内受容体の転写制御においては、アゴニスト/アンタゴニスト活性の強弱に加え、リガンド依存的な標的遺伝子の選択的発現制御も重要である。本研究課題の遂行過程で創製した合成リガンドの有用性を検討する上においても、レポーターアッセイに加えて個々の遺伝子発現について解析する評価系が必要となる。そこで本研究では、マイクロアレイを用いた網羅的発現解析等を利用して、核内受容体PPARγ(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ)によって発現が制御される遺伝子の同定研究を行っている。昨年度までに申請者は、PPARγ及びRXRαに対するChlP-chipの系を確立していた。そこで本年度は、3T3-L1細胞の脂肪細胞への分化系におけるPPARγとRXRαの標的遺伝子をChIP-chip法により網羅的に同定し、脂肪細胞分化における機能を解析した。その結果、PPARγの標的遺伝子として同定されたSETタンパク質SETD8が、ヒストンH4K20のモノメチル化を介して、脂肪細胞への分化を制御していることを明らかにした。従来PPARγは、代謝関連遺伝子の転写因子として理解されていたが、本研究によりエビジェネティックな変化をも制御し、脂肪細胞への分化を促進していることが明らかとなった。本研究の成果は、脂肪細胞への分化の基礎生物学のみならず、エピジェネテイックな経路を標的とした創薬を推進する上で新たな指針を与えるものと考える。以上より、本研究における本年度の目標は達成できたと考える。
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Research Products
(1 results)