2007 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体の活性制御理論仮説を基盤とした新規合成リガンドの創製
Project/Area Number |
06J11632
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 賢一 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 医薬化学 / 核内受容体 / 合成リガンド / マイクロアレイ / PPAR |
Research Abstract |
リガンドによる核内受容体の転写制御においては、アゴニスト/アンタゴニスト活性の強弱に加え、リガンド依存的な標的遺伝子の選択的発現制御も重要である。本研究課題の遂行過程で創製した合成リガンドの有用性を検討する上においても、レポーターアッセイに加えて個々の遺伝子発現について解析する評価系が必要となる。本年度は、マイクロアレイを用いた網羅的発現解析等を利用して、核内受容体によって発現が制御される遺伝子の同定研究を進めた。 ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(PPARγ)は、脂肪細胞の分化や成熟を促す遺伝子群の転写を促進する核内受容体である。PPARγアゴニストのチアゾリジン系化合物が糖尿病治療薬として使われていることからも、PPARγは医薬品開発の重要な標的分子となっている。しかし、これまでの発現解析では二次的な遺伝子の発現変化も検出してしまい、その直接の標的遺伝子を同定することは困難であった。そこで本研究では、クロマチン免疫沈降法(ChIP)と全遺伝子領域にプローブが設計されたマイクロアレイ(タイリングアレイ)を用いたChIP-on-chip法によって、3T3-L1脂肪細胞におけるPPARγの直接の標的遺伝子を網羅的に同定することを目的とした。 PPARγは同じく核内受容体に属するレチノイドX受容体(RXR)とヘテロ二量体化し、標的遺伝子の転写を制御すると考えられている。そこで、PPARγとRXRαが結合するDNA領域をAffymetrix社のタイリングアレイにより検出した。PPARγとRXRαに共通の結合領域では、PPAR結合配列が最も濃縮されており、プロモーター領域にPPARγ-RXRαの結合を持つ遺伝子の中には、既知のPPARγ標的遺伝子の多くが含まれていた。以上の結果から、PPARγ及びRXRαの標的遺伝子を網羅的に同定する系を確立し、今年度の目標を達成できたと考える。
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Research Products
(1 results)