2006 Fiscal Year Annual Research Report
HMG-CoA還元酵素阻害薬の薬効・副作用の発現を予測する生理学的モデルの開発
Project/Area Number |
06J11634
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北村 吏司 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 薬物動態学 / HMG-CoA還元酵素阻害薬 |
Research Abstract |
まず、モデルを簡略化するため、ヒトで代謝をほとんど受けないと考えられる3種類のumG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)を用いた解析から始めた。このうち、血中コレステロール低下作用が最も強いと考えられているrosuvastatinを用いて、ヒト肝取り込みおよび胆汁排泄過程に関与しうるトランスポーターの同定を終え、肝取り込み過程でのトランスポーターの寄与率を算出した。RosuvastatinのOATP1BIおよびOATP1B3への親和性を示す肺値はそれぞれ0.7、14μMと算出され、比較的親和性が大きいことが示された。また、ヒト肝への飽和性のある取り込みについてOATP1B1が70-80%、OATPIB3が20-30%寄与しうるという結果を得たが、これはOATP1B1を介していると考えられる薬物間相互作用の報告、および、OATP1B1の遺伝多型による本薬物の血中濃度上昇の報告と矛盾しないものであり、本解析の妥当性が示された。 胆汁排泄過程に関与するトランスポーターの寄与を解明するため、基底側膜にOATP1B1、頂端側膜にMRP2・MDR 1・BCRPのいずれかを共発現させた極性細胞で、rosuvastatinの経細胞輸送を測定した。その結果、いずれの共発現細胞でも基底側から頂端側への有意な経細胞輸送が観察されたことから、rosuvastatinがMRP2、MDR1およびBCRPのいずれの基質にもなることが示された。さらに、排泄トランスポーターMrp2、Bcrpの欠損動物において、肝臓中濃度を基準としたrosuvastatinの胆汁排泄クリアランスが有意に低下したことから、少なくともげっ歯類では,rosuvastatinの胆汁排泄過程にMrp2とBcrpの関与が認められた。
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