2008 Fiscal Year Annual Research Report
HMG-CoA還元酵素阻害薬の薬効・副作用の発現を予測する生理学的モデルの開発
Project/Area Number |
06J11634
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北村 吏司 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 薬物動態学 / トランスポーター / 肝移行性 / OATP / PET |
Research Abstract |
薬物動態を予測するための全身の数理モデルを構築する目的で、本年度は、薬物の肝移行性を予測するためのモデル構築及びin vivo薬物動態の予測の検証を行うため、良好な肝移行性を示すスタテンの一つであるプラバスタテンを用いて、血中・肝臓中濃度に及ぼす各種薬物トランスポーター阻害剤の影響をラットを用いて検討した。プラバスタチンの肝取り込みを阻害しうる薬物と同時投与した場合、血中濃度は大きく上昇したのに対し、肝臓中濃度にはそれほど大きな変動は見られなかった。これは、各種in vitro阻害実験の結果をプラバスタチンの体内動態を記述する生理学的薬物速度論モデルに統合することにより予測される血中・肝臓中濃度変動の見積もりと矛盾しない結果となった。モデルに基づく予測がヒトにおいても適用可能であることを実証するため、良好な肝移行性を示すことが知られているPETプローブ、(15R)-16-m-tolyl-17,18,19,20-tetranorisocarbacyclin(15R-TIC)と、肝取り込みトランスポーターの阻害剤であるrifampicinとの併用試験をヒトで行ったところ、PETプローブ由来の放射能の血中濃度は上昇した一方、肝臓中濃度は変動しなかった。またPET試験の利点として、肝臓中濃度の定量がヒトで非侵襲的に評価可能であり、肝取り込み・胆汁排泄各々のクリアランスを定量化することが出来る。そこで、ヒトin vivo試験で求められたクリアランスの変動の予測を試みたところ、in vitro取り込み阻害試験における阻害定数、阻害剤濃度の推定値などの情報に基づく計算値で十分に説明可能であった。本研究により、スタチンの薬効ターゲットである肝臓内濃度、副作用(筋毒性)と関連する血中濃度に与える併用薬物の影響を、in vitro実験により精度よく予測できることを示すことが出来た。
|
Research Products
(3 results)