2006 Fiscal Year Annual Research Report
定常過程に対する統計的推定問題。特に連続時間の枠組でのブートストラップ手法。
Project/Area Number |
06J11639
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深澤 正彰 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ブートストラップ / エッジワース展開 / 漸近展開 / 拡散過程 |
Research Abstract |
Regenerative Block Bootstrapに関する研究を進め,その理論的基礎となる一次元拡散過程のエッジワース展開公式の新たな表現を得た.この公式を利用して Regenerative Block Bootstrap の一種のあるリサンプリング法で,その数値実験での良さが知られており,かつ理論的正当化が未だなされていなかった方法に対して,その二次の正確さを証明した.またあるタイプのスチューデント化統計量が二次のオーダーでスキューネスフリーになることを発見し,応用として三次の正確さをもつパラメトリックブートストラップ推定量を構成した.これは特殊な状況にあける数値実験によって示唆された結果であったが,一般的な状況でのスチューデント化の方法は,連続時間過程特有の事情を利用しており,予期しないものであった.尤度比検定統計量に対してもエッジワース展開を導いた.一方で自然に構成されるブートストラップ検定統計量には特殊な状況を除いて理論的正当性がないこともわかった.これらの結果はすべて初期分布に可積分性以外の条件を置かない,一般的な枠組みで示したものであり,エッジワース展開係数,Bootstrapの構成法に初期分布がどのように影響するかを明らかにしている.特に最尤推定量を含むあるクラスの推定量はそのエッジワース展開が二次のオーダーで初期分布に依存しないことが導かれた.Splitting手法によってRegenerative Block Bootstrapの適用範囲が広げられることがわかったが,一方で実用的なノンパラメトリックブートストラップとしてこの方法を用いるためには,より広いクラスの汎関数に対してエッジワース展開を証明しなければならないことがわかり,これは今後の課題である.
|