2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11641
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 紀行 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 境界値写像 / Jacquet加群 / Verma加群 |
Research Abstract |
本年度は,主に主系列表現のJacquet加群に関する考察を行った.Jacquet加群の構造は境界値写像の細かな挙動と密接に関わっていることが予想され,境界値写像を調べる上で重要な対象である.一方,Jacquet加群はLie環の表現として代数的に定義されることから,Jacquet加群の考察は普遍包絡環の超局所化と関係することも予想される. 昨年度,特殊なパラメータの主系列表現のJacquet加群に対し,ある部分加群の列を定義し,その性質,特にそこから得られる次数付き加群の構造を調べたが,本年度はまず同様の考察を一般のパラメータに対し行い,同様の列を定義した.この場合の構成方法は,shuffling functorを用いて昨年度の構成に帰着させる方法の他,主系列表現を旗多様体上の直線束の切断として実現しておいて,旗多様体のBruhat分解から構成することもできることがわかった. 次に,構成した部分加群の列から得られる次数付き加群の性質を調べ,それがねじれた一般Verma加群の直和になることを示すことができた.特に考えている群が実分裂系の場合はねじれたVerma加群の直和になるが,ねじれたVerma加群は通常のVerma加群に比べその構造が知られていないと思われるので,その構造,特に通常のVerma加群からの非自明な準同型がいつ存在するかに関し考察を行い,いくつかの条件を得た.しかし,その必要十分な条件はまだ得られておらず,来年度以降の研究課題である.また,ねじれたVerma加群の構成の一つであるtwisting fumctorに関する考察も行った. Jacquet加群と境界値写像の関係についても考察を行った.その結果,収束性の問題を無視すれば両者はほぼ同等であることがわかった.しかし,収束性の問題を解決することはできず,今後の課題として残った.
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