2006 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属酸化物薄膜への電界効果応用及びそれに伴う新奇物性の探索
Project/Area Number |
06J11659
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
椋木 康滋 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パルスレーザー堆積法 / レーザーパラメータ / チタン酸ストロンチウム薄膜 |
Research Abstract |
パルスレーザー堆積法はレーザーアブレーションの特性を利用した薄膜作製法である。パルスレーザーを利用することで高エネルギー状態を簡便に実現させることができる、汚染のない蒸着源などの利点を持ち遷移金属酸化物薄膜作製に適しているとされ広く普及している。その一方で不安定な再現性などの短所も併せ持っている。本年度研究ではパルスレーザー堆積法におけるレーザーパラメータと薄膜物性の相関を調べることを主たる目的とした。アブレーションレーザーをパラメータ化するため望遠レンズ系を設計し、レーザーをパワーとスポットサイズの二つのパラメータで正確に制御することに成功した。研究材料として代表的なペロブスカイト遷移金属酸化物であるチタン酸ストロンチウムを選出し、ホモエピタキシャル薄膜を作製した。作製時は基板温度、酸素分圧などの熱力学的条件を固定し、レーザーのパワーとスポットサイズをパラメータとした。薄膜の電気特性を調べるためニオブ添加チタン酸ストロンチウム基板と金電極で挟み込んだキャパシタンス構造を作製し誘電率の測定を行った。またエックス線回折によりc軸長を測定し薄膜構造も合わせて調査した。以上の測定から薄膜物性のレーザーパラメータ依存性を見出したが、そのメカニズム等を明らかにずるには更なる系統的な実験が必要だと思われる。レーザーパラメータの制御性、再現性を向上させることでパルスレーザー堆積法の信頼性向上、適用範囲拡大につながるものと期待できる。本研究はパルスレーザー堆積法におけるレーザーパラメータの影響を実験的に検証した数少ない報告だと自負している。
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