2006 Fiscal Year Annual Research Report
薄膜中転位を制御・利用したナノ細線デバイスの創成および機能評価
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06J11666
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤田 有紀 (徳本 有紀) 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 薄膜 / 転位 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は、薄膜中貫通転位を制御・利用したナノ細線デバイスの創成および機能評価を目的としている。ナノ細線デバイスの母材として、薄膜中に高密度な貫通転位が存在するAIN薄膜を検討している。一般に、薄膜中貫通転位の生成は薄膜・基板間の界面構造、中でも特にその原子構造と密接に関係する。そのため、界面の詳細な原子構造の理解が薄膜中の貫通転位生成メカニズムの解明のために重要であると考えられる。 そこでまず、AlN(0001)/α-Al_2O_3(0001)界面を格子不整合の大きい異相界面のモデルとし、経験的な2体間ポテンシャルを用いる格子静力学計箕により、界面における原子の緩和挙動の解析を行った。これまでに高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)観察およびリジッドモデルに基づくHRTEM像シミュレーションを行った結果、界面近傍原子の緩和挙動は界面に沿って一定ではなく、領域によって異なることが示唆されていた。また、AlN(0001)[11^^-20]//α-Al_2O_3(0001)[1100]界面のAIN側はAl-終端でN-極性、α-Al_2O_3側はO-終端であることが分かっていた。これまでに得られたHRTEM像に基づいて界面の初期構造を構築し、経験的な格子静力学法により構造最適化計算を行った。計算に必要なAl-O-N系の2体間ポテンシャルは報告されていないため、N-O、 Al-N、 N-N、 O-O、 N-Oの2体間ポテンシャルの作成も行った。作成した各ポテンシャルを用いてウルツ鉱型AlN、α-Al_2O_3、スピネル型Al_3O_3Nの構造最適化計算を行い、格子定数および弾性定数の実験値を再現することを確認した。さらに、緩和前と緩和後の界面原子構造の比較を行うことで緩和挙動を調べた。界面近傍のAlN側のAl原子、およびAl_2O_3側のO原子の変位から、N-O原子間距離の界面に垂直な成分、すなわち局所的な界面原子間距離を求めた。その結果、AlN/Al_2O_3のような格子不整合の大きい異相界面においては、界面をはさんだ原子間の相対的位置関係が多様であり、界面原子間距離にサイト依存性が生じることがわかった。
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