2006 Fiscal Year Annual Research Report
磁気ノズルによるプラズマ加速機構の解明とその惑星大気突入シミュレータへの応用
Project/Area Number |
06J11672
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高間 良樹 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 磁気ノズル / 水素プラズマ / 発光分光 / 高エンタルビ流 / プラズマ風洞 |
Research Abstract |
平成18年度は主として,(1)電磁流体力学による準一次元磁気ノズルモデルの構築,(2)既存の実験装置を用いた磁気ノズルの基礎実験,(3)新しい実験装置の設計を行った. そもそも磁気ノズルに関する理論的・解析的な考察は,磁力線と速度ベクトルが平行な場合についてのみ数例存在する程度であるため,まずは(1)に取り組んだ.ここでは,磁力線と速度ベクトルが平行であるという仮定を用いずに電磁流体力学を適用し,その準一次元解について解析的に考察した.その結果,気体力学的マッハ数が1になる場所は,従来考えられていた幾何学的スロートの位置とは限らないということを指摘した.だが,本モデルと過去の実験結果を比較したところ,実験結果と合う部分と合わない部分があること,さらに本モデルも幾つかの仮定を用いていることから,次年度以降モデルの改良に取り組んでいきたいと考えている. 実験的アプローチである(2)及び(3)も(1)と平行して行った.既存のプラズマ発生装置に外部から磁場を印加すると,確かにプラズマが磁場を感じて閉じ込められることを確認した.本プラズマはこれまで磁気ノズルが適用されてきた完全電離プラズマではなく弱電離プラズマであるため,粒子間衝突を介して磁気ノズルが弱電離プラズマに対しても効果を持っことが示唆された.また分光測定の結果,磁気ノズル付加時には閉じ込め効果によって,プラズマが熱平衡状態に近づくこと,さらに壁面からの熱ロスが減少して装置の高効率化につながることが明らかになった.しかしながら,プラズマが磁場によってどの程度加速しているかどうかは既存の実験装置では定量的に調べることができず,次年度完成する新しい実験装置にて確認する予定である.この新しい実験装置の設計は既に終了しており,現在製作中である.
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