2006 Fiscal Year Annual Research Report
マウス大脳皮質発生におけるNotch-Delta経路の機能解析
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06J11680
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 大地 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経系前駆細胞 / ニューロン分化 / Notch / Delta-like 1 / 側方抑制 / 大脳発生 / 非対称分裂 / 幹細胞 |
Research Abstract |
脊椎動物の大脳皮質発生において、ニューロン分化が起こる時期にはすべての未分化な神経系前駆細胞が一斉に分化するのではなく、ある決まった割合で一部の神経系前駆細胞が選択されてニューロンに分化する。神経系前駆細胞から一部のニューロンに分化する細胞を選択するメカニズムとしては非対称分裂が主にこれまで考えられてきた。しかし、本研究の前年度の結果から、大脳皮質発生においてニューロンが選択される際にNotch-Delta経路による側方抑制機構が働いている事が示唆されていた。本年度は、隣接細胞とのNotchリガンドDelta-like1(D111)の発現量の差がニューロン分化細胞の決定に及ぼす影響を検討した。 本年度では、神経系前駆細胞の初代培養系において、Dll1の発現とニューロン分化にどのような関わりがあるのかを検討した。その結果、(1)Dll1発現細胞は周囲の神経系前駆細胞の未分化性を維持する事、(2)周囲の細胞よりもDll1の発現量を多くした神経系前駆細胞はニューロン分化が促進する事、(3)(2)で見られたDll1によるニューロン分化促進には細胞間相互作用が必要な事が示された。さらに、発生中の生体内におけるD111発現細胞の分化運命を解析するため、子宮内レトロウイルス感染法を用いて発生中の大脳新皮質において神経系前駆細胞にD111を遺伝子導入する実験を行った。その結果、 Dll1発現細胞は脳室帯から皮質板へとより早く移動していく事がわかり、初代培養系でも見られたようにニューロン分化が促進されている事が示唆された。これらの結果から、Dll1の発現量の差によって神経系前駆細胞の分化運命が決定する事が示唆され、Notch-Delta経路による側方抑制機構が機能している事が支持された。今後、Dll1を遺伝子破壊するなどしてニューロン分化に対する必要性を検討していく予走である。
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