2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本音楽におけるメディアと子どもに関する歴史社会学的研究
Project/Area Number |
06J11698
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
周東 美材 The University of Tokyo, 大学院・情報学環, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 歴史社会学 / 複製技術 / メディア / 聴覚文化 / 近代日本音楽史 / ポピュラー音楽 / 子ども / 童謡 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度から準備してきた論考を学会誌等へ投稿し、発表・公開することに特に力を注いだ。掲載予定のものを含めると合計5件の関連論文を執筆した。すでに刊行されている論文に、1.「子ども向け文芸運動の産業化-童謡レコードを事例として」『東京大学大学院情報学環紀要情報学研究』72号、2、「教育空間における新たなメディア実践の成立-「兒童劇を兒童に演ぜしめる事の可否」に関する歴史社会学的考察」『東京大学大学院情報学環紀要情報学研究』74号、3.「「令嬢」は歌う-童謡にみる歌声とメディアの地層」『思想』2008年5月号(岩波書店)がある。また、掲載が決定し次年度中に刊行予定の論文として、4.「鳴り響く家庭空間-1910-20年代日本における家庭音楽の言説」『年報社会学論集』21号(関東社会学会)、5.「童謡のメディア論-雑誌『赤い鳥』における「声」の重層と再編」『社会学評論』234号(日本社会学会)がある。いずれの論文も研究課題である近代日本の音楽の歴史におけるメディアと子どもの関わりを論じたものであり、メディアによる音楽文化の再編を論じた点に特に独自性がある。ここでいう音楽文化の再編とは、「音楽」概念の変容と再定義、音楽をめぐる美学や評価の転換、音楽の制作・流通・受容をめぐる制度やシステムの再編制などが含まれ、これらの問題を各論文において個別に考察している。各論文はいずれも1910年代から20年代における子どもの文化を事例にとり、とりわけ童謡、児童劇、子ども向けレコード、家庭音楽、文芸雑誌などを考察対象として論じているが、近代日本音楽の歴史における子どもが果たした役割とその重要性についても各論文において論究している。各論文ともポピュラー音楽に関する歴史的研究に資するものであり、昨年度より理論的に討究してきた聴覚文化auditory cultureをめぐる事例研究としても位置付けられよう。
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Research Products
(4 results)