2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11704
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲葉 一浩 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | XML / マクロ木変換器 / Macro Tree Transducer / オートマトン / プログラミング言語 / 型検査 |
Research Abstract |
本年度は、XML変換処理言語における文書タイプ情報(型)に基づいた検査や最適化の実現に向けて、変換処理の形式的なモデル化に取り組んだ。XML変換を表現する既存の数学的モデルとしては「Macro Tree Transducer(マクロ木変換器)」がよく知られている。Macro Tree Transducerに基づく型検査の先行研究は、いずれも、変換処理がXML文書中の各部分をたかだか定数回読み取る場合に限り効率的な検査が可能であることを示しており、対象とできる変換の範囲が限られている。そこで本年度の研究では、MacroTree Transducerをさらに一般化したモデル「Multi-Return Macro Tree Transducer」を定義し、効率的な型検査の対象とできる変換の範囲を広げることを目指した。 Multi-Return Macro Tree Transducerは、一回の入力読み込みに対して出力される処理結果の木構造を一つに限定していたMacro Tree Transducerを拡張し、複数の処理結果を同時に返すことを可能としたモデルである。この拡張によりMulti-Return Macro Tree Transducerでは、Macro Tree Transducerと同じ変換を記述してもXML文書の読み取り回数が本質的に減少することがあり、結果として、より広い範囲の変換を効率的に検査可能となることが期待される。 本年度の成果としては、まず、この新しいモデルMulti-Return Macro Tree Transducerの厳密な定義および、Macro Tree Transducerと比較して真に表現力が強化されていることの証明を与えた。この研究成果は、XML処理プログラミング技術に関する査読付き国際学会PLAN-X2008に論文として投稿し、採択された。また、この新しいモデルが複数の処理の合成に関して通常のMacro Tree Transducerよりも優れた性質を持つことを証明し、オートマトンの実装および応用に関する査読付き国際学会CIAA 2008へ投稿している(4月末採択通知)。
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Research Products
(1 results)