2006 Fiscal Year Annual Research Report
動的計測システムを用いた昆虫の羽ばたき飛行メカニズムの研究
Project/Area Number |
06J11722
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 博人 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 羽ばたき飛行 / 昆虫飛行 / 蝶 / 非定常流れ / 低レイノルズ数 / マイクロモールディング / Micro Air Vehicle |
Research Abstract |
昆虫サイズの羽ばたき飛行で生じる運動に対する理解を深めるために,蝶を規範とした羽ばたき機を試作して飛行実験を行った.羽ばたき機の仕様は,翼長70cm,質量0.4g,羽ばたき周波数10Hzとなっており,蝶と同じ形態を実現している.ゴム動力によって羽ばたき翼が駆動される.この試作機の自由飛行に成功した.高速度カメラによる計測の結果,羽ばたきに同期して機体が上下運動していることが分かった.この上下運動によって,体軸における迎え角は0°から30°の間で振動した.さらに風洞内での飛行にも成功し,風洞での煙による流れの可視化実験から,この迎え角の振動が昆虫の羽ばたき飛行で見られる非定常流れを誘起することがわかった.この結果,本研究課題の動的計測システムの必要性が確認された. 上記の飛行実験を通じて,羽ばたき機を用いて昆虫の飛行をさらに詳細にモデル化するには,より複雑な翼構造が必要であることが明らかになった. そのために,曲面を持つ下型に柔軟なシリコンゴム製の上型を押し付けてポリウレタンを注入し成形するという,新たな3次元マイクロモールディング法を開発し,3次元曲面と放射状の脈構造を持つプラスチック翼を試作した.膜面は膜厚20μmのパリレンフィルム,脈構造は断面500μm角以下の曲線ポリウレタンフレームで構成される.MEMSプロセスでエッチングされたシリコンウェハを原型とした柔軟なシリコンゴム型を採用することで,従来の金型製作よりもはるかに短時間,低コストでマイクロスケールの成形品を得ることができる.この方法で成形できるポリウレタンの最小断面サイズは100μm以下,長さは20mm以上であり,羽ばたき機の翼に適用可能であることが示された.
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Research Products
(1 results)