2007 Fiscal Year Annual Research Report
動的計測システムを用いた昆虫の羽ばたき飛行メカニズムの研究
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06J11722
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 博人 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 羽ばたき飛行 / 昆虫飛行 / チョウ / 非定常流れ / 低レイノルズ数 / マイクロモールディング / 翅脈 |
Research Abstract |
平成18年度の研究では,昆虫の羽ばたき飛行において翅の受動的な弾性変形が飛行運動に大きく影響することがわかり,昆虫の翅のモデルとして薄膜と翅脈からなるプラスチック製の柔軟人工翅の製作方法を新たに開発した,平成19年度は,人工翅の製作方法を実用レベルまで発展させ,実験用人工翅を設計し,実験用羽ばたき機に取り付けて飛行試験を実現することを目指した. 人工翅の翅脈は,熱硬化性ポリウレタン樹脂をシリコーンゴム製マイクロ流路に注入して成形される,その際,流路断面サイズによって樹脂注入可能長さが変わる.実験用人工翅の設計に先立ち,流路断面サイズと樹脂注入可能長さを調べた.その結果,注入可能長さは流路断面アスペクト比と流路断面サイズに依存することがわかり,流路断面が正方形のとき注入可能長さは流路断面サイズの400倍以上であった. 実験用人工翅の平面形状と翅脈相は実際のアゲハチョウPapilio karmaを規範とした.人工翅脈の断面サイズはPapiliokarmaの標本の翅脈をレーザ変位計で計測した結果を反映し,4種類に分類した.その翅脈幅・高さはそれぞれ450・600,450・450,300・300,150・150(単位・m)である.翼長は60mmであり,この人工翅は樹脂成形で製作可能なサイズである.この人工翅を基準として,翅脈のデザインを変えた人工翅と飛行運動を比較することで,実際のチョウでは調べることが不可能だった翅脈構造と飛行運動の関係を実験的に調べることができる. 製作した人工翅を超軽量ゴム動力羽ばたき機に取り付け,飛行試験を行った.機体の総重量は0.4gであり,実際のチョウと同程度である.機体の重心位置を調整すると安定前進飛行に成功した.これによって,人工翅と羽ばたき機による実験が可能になった.
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Research Products
(2 results)