2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本古代における「文書主義」の導入と、その展開過程
Project/Area Number |
06J11728
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
渡辺 滋 National Museum of Japanese History, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本史 / 古代史 / 史料学 / 文書行政 / 文書主義 / 文字社会 / 情報伝達 |
Research Abstract |
本年度は、主たる研究課題である「日本古代の文書主義」に関して、とくに精力的な検討を進めてきた。その結果、来年度早々には明治大学文学部に対して博士論文を提出し、審査を申請できる状況にまで至った。この博士論文は、これまで発表してきた各論文に新稿を加えた上で全面的な改定を行うなど、かなりの労力を投下して完成させたものである。勿論、その内容には、日本学術振興会特別研究員として従事した各種の史料調査の成果が、大きく反映している。 なお、こうした研究を展開する過程において、「文書主義」のみを対象とする研究範囲に止まらず、関連する諸研究を並行して進めることで、より厚みのある研究成果を提示するように努めた点も、予想通り、良い効果を生んだ。具体的にいえば、個々の文字資料を扱う際、文書行政のあり方を根底で規定する『令集解』に関してあつかった(1)論文、平安後期の貴族社会の実態を記した儀式書の成立に関する論文(3)や、日本社会への漢字・漢文の導入に関して検討した(2)論文・(4)発表などを平行して進めることで、より複眼的な視点から考察を進めることが可能となり、従来にないユニークな成果を生み出せた。 以上の研究により、日本古代における文字利用の実態に関して、多角的な検討をすすめ、様々な成果を提示することができた。特に、研究課題として設定した、音声言語と書記言語の双方が、どの様な役割を果たしたのかという点に関して、明らかにできたところは多い。こうした成果は、来年度における研究に、発展的に継承していくつもりである。
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Research Products
(4 results)