2007 Fiscal Year Annual Research Report
惑星形成と多様な銀河環境を考慮した彗星雲の起源と進化についての研究
Project/Area Number |
06J11792
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
樋口 有理可 National Astronomical Observatory of Japan, 理論研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | オールト雲 / 彗星 / 惑星系形成 |
Research Abstract |
太陽系形成過程における、恒星遭遇によるオールト雲の形成について調べた。現在の太陽近傍の恒星の観測より、太陽は1パーセク以内の距離の恒星遭遇を、平均して10万年に1度受けていることが予想されている。このような距離と頻度は、惑星散乱により大きな遠日点距離(>1000AU)を与えられた微惑星の軌道に大きな影響を与え、オールト雲形成そのものに寄与する。また、オールト雲彗星の近日点距離を変化させ、地球から観測可能な軌道に進化させる役割も担う。この長周期彗星の観測と恒星遭遇の関係はこれまでも調べられているが、オールト雲形成過程における恒星遭遇の役割は明確にはされておらず、オールト雲ありきで議論が進んでいるのが現状である。以上を踏まえ、オールト雲形成過程を解明するため、モンテカルロ法を用いて恒星を遭遇させ、その結果の微惑星の軌道進化を、衝撃近似法を用いて解析的に調べた。その結果、微惑星の太陽からの距離によって軌道要素の分布の進化が大きく異なることがわかった。太陽からの距離が数万AU以内の微惑星は、恒星からの摂動で軌道要素は拡散し、十分時間がたつと等方の速度分散から予測される分布を持つようになる。しかし、距離が大きな微惑星の場合、恒星の摂動による速度変化が、もともと持っていた軌道速度と同程度の大きさになるため、初期の値をすぐに忘れるような分布の進化を見せることがわかった。このために、等方分布に達する前に特徴的な軌道傾斜角分布を持つようになるということがわかった。また、太陽系年齢以内に等方分布を獲得するのは軌道長半径が〜2AU以遠の微惑星だけであることがわかった。
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Research Products
(4 results)