2008 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジーによるミトコンドリアの選択的分解〜その生理的意義とは〜
Project/Area Number |
06J11817
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
山本 林 National Institute for Basic Biology, 分子細胞生物学研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | オートファジー / マイトファジー / 出芽酵母 / タンパク質分解 / 再構成系 / キナーゼ / オートファゴソーム |
Research Abstract |
オートファジーに関与する膜タンパク質Atg9の機能解析 Atg9はオートファジーに必須の唯一の膜タンパク質であり、オートファゴソーム膜形成に際して脂質成分の供給を担っていると考えられているが、その実験的な証拠は得られておらず、Atg9の具体的な機能に関しては不明な点が多く残っている。また、Atg9はオートファゴソーム形成の場と考えられるPAS(Pre-Autophagosomal Structure)と、ミトコンドリアをシャトルしていることが報告されており、マイトファジーにおけるミトコンドリア選択性に関与する可能性が考えられる。 私は本研究においてこれまでに、Atg9がautophagy-related kinaseであるAtg1によってリン酸化されることを明らかにしており、Atg9の機能におけるリン酸化の意義とマイトファジーの関係について解析を行っていたが、その過程で、Atg9が完成した(閉じた)オートファゴソーム膜に局在することを新たに見出した。これまでの報告では、Atg9は閉じたオートファゴソーム膜には局在しないとされてきたが、本研究での蛍光顕微鏡観察では、オートファゴソームのcontentsマーカーであるAtg8との共局在が観察され、さらに高倍率・高分解能の観察では、Atg8(contents)の周りにAtg9(membrane protein)がリング状に見える様子が捕らえられた。また、免疫沈降や密度勾配遠心などの生化学的解析を行ったところ、Atg9がオートファゴソーム画分に回収されることが確認され、さらにそのほとんどがオートファゴソームの外膜に局在していることが明らかとなった。前述のAtg9のリン酸化について調べてみたところ、閉じたオートファゴソーム外膜上のAtg9の一部がリン酸化されていることが示され、Atg9のリン酸化とオートファゴソーム膜上への移行に相関が見られた。これらの結果は、Atg9がオートファゴソーム形成に直接関与していることを示すとともに、サイトゾルのAtg9ベシクルからオートファゴソームへと脂質成分が供給されていることを強く示唆する結果と言える。
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