2007 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝酵素CYP2A6の個体差および臨床意義に関する包括的研究
Project/Area Number |
06J11891
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
深見 達基 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 薬物代謝学 / チトクロムP450 / CYP2A13 / 基質特異性 |
Research Abstract |
ヒトCYP2A分子種にはCYP2A6、CYP2A7、そしてCYP2A13が存在する。CYP2A13は比較的新しく同定された分子種であり、どのような機能を有するかほとんど知られていない。本年度はCYP2A13の機能解析を中心に行った。始めにCYP2A13の発現臓器について解析した結果、肺や膀胱において高く発現していることを明らかにした。肺に発現していることより、環境汚染物質(ナフタレン、スチレンなど)や気管支喘息薬(テオフィリン)の代謝を触媒するかどうか、また膀胱に発現していることより膀胱癌の原因物質である4-アミノビフェニルの代謝的活性化を触媒するかどうか、CYP2A13大腸菌発現系を構築してHPLCにより酵素活性を解析した。ナフタレンの代謝はCYPIA2、スチレンとトルエンの代謝はCYP2E1が高い活性を示すと言われていたが、CYP2A13はこれらの分子種よりも高い固有クリアランス値を示すことを明らかにした。テオフィリンの代謝はCYP1A2が担うことが知られていたが、CYP2A13も代謝能を有することを明らかにした。これらの代謝についてCYP2A6はCYP2A13よりも低い活性しか示さなかった。4-アミノビフェニルの代謝的活性化はCYP1A2が触媒することが知られていたが、CYP2A13も活性化能を有することを明らかにした。CYP2A6はこの活性化能を有していなかった。以上より、CYP2A13は環境物質や薬物の活性化もしくは解毒に重要であることを酵素活性の点より明らかにした。さらに、CYP1A2やCYP2E1の指標活性についてCYP2A13はCYP2A6より有意に高い固有クリアランス値を示すこと、もしくはCYP2A13は触媒するがCYP2A6は触媒しなかったことより、CYP2A13はCYP2A6とアミノ酸の相同性が高いにも関わらず基質特異性が異なることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)