2008 Fiscal Year Annual Research Report
新しい生物生産技術開発を目指した減数分裂開始機構の解明
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06J40002
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
三浦 智恵美 Ehime University, 南予水産研究センター, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 魚類 / 精子形成 / 黄体ホルモン / DHP / 精子形成関連因子 / トリプシン / セリンプロテアーゼ / 受精 |
Research Abstract |
精子形成、卵形成の進行には様々な因子が関与しており非常に複雑な制御機構が存在する。これらの過程を生体外で人為的に制御し、これまでにない新しい概念の生物生産技術や遺伝子資源保全技術を確立することを目的として研究を行った。 本研究は、雌雄両配偶子形成での減数第一分裂開始の引き金を引く因子:DHPの下流で作用する分子の候補のうち、精子形成関連因子(eSRS)56に関して詳細に研究を行った。eSRS56は、その塩基配列からセリンプロテアーゼの一種:トリプシンであり、その発現部位、精子形成への機能実験から、このセリンプロテアーゼがDHPの下流で減数分裂の開始に作用する可能性が強く示された。また精原幹細胞の細胞培養系により、これらセリンプロテアーゼが、精子変態の過程の一部を誘導した。さらに、精子膜状にも活性を持ったセリンプロテアーゼが存在する事も明らかになり、受精にも重要な役割を担うことが示唆された。このようにセリンプロテアーゼは精子形成に関して多機能性を持つ事が明らかとなった。また、ほ乳類の精巣中にはプロテアーゼ活性化レセプター(PAR)と数種類のセリンプロテアーゼインヒビクー(Serpins)が存在し、魚類でも、セリンプロテアーゼは、これらを介して精子形成に対し何らかの作用を示す可能性が高い。本研究では、これらのウナギのPAR、Serpinsおよび精子膜上に存在するトリプシン様物質をコードするcDNAが得られた。更に、それらのセリンプロテアーゼ関連物質の発現解析をノーザンハイブリゼーション、in situハイブリゼーションを行なった所、精子形成過程の生殖細胞で発現している事が明らかとなった。 この様に、精子形成での制御機構にセリンプロテアーゼ関連物質が関与していることが分子レベルで明らかとなった。
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Research Products
(6 results)