2007 Fiscal Year Annual Research Report
摩擦発熱による断層岩の物性変化と地震発生機構の解明
Project/Area Number |
06J40014
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 美紀 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 地質情報研究部門, 特別研究員(RPD)
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Keywords | Thermal Pressurization / 浸透率 / 粘土鉱物 / 断層ガウジ / 高速剪断試験 |
Research Abstract |
地震のように急速な滑りが断層面にかかると,摩擦熱により滑り面が高温になる.Thermal Pressurization(TP)とはこのように高温になった剪断集中ゾーンでの流体圧の増加により断層挙動が不安定になり滑りが加速する現象である.変形中,断層ガウジは高温にさらされてどのような変化を示し,強度に影響を与えるのだろうか?という疑問に答える実験例はなかった.特に,断層岩に普遍に存在し,その鉱物中に水を内包する層状珪酸塩鉱物の加熱による脱水反応とその強度に対する影響はTPのみならす脱水不安定についての議論とも関連し非常に重要な研究対象である. 今年度は,JAMSTEC高知コアセンター所有の回転式高速剪断試験機を用い,直径約25mmのブロックに0.5gのカオリナイトガウジを挟み,テフロンのリングでシールしたサンプルに垂直応力0.5-1.8MPa,1.3m/secの高速で剪断し強度を計測した.非排水条件を模擬する際,ブロックは緻密質のアルミナを用い,排水条件を模擬する際,多孔質のアルミナで実験を行った.これらアルミナには7本の熱電対線を挿入し,高速回転による断層ガウジの温度上昇を計測している.多孔質アルミナを用いた場合も,緻密質アルミナを用いた場合も剪断強度と垂直応力との間に線形の関係が成立していた.低垂直応力下では多孔質アルミナを用いた方が緻密質のものより高い値を示したが,高垂直応力ではほぼ同じ強度となった.7本のセンサーのうちの最高温度を強度や実験条件と比較してみたが,条件に依存せず温度は多孔質で約350℃,緻密質で約250℃に頭打ちとなった.これは脱水反応が修了するまで断層内部の温度上昇は抑えられることを反映するものと考えられる.多孔質アルミナを用いた場合は脱水により試料内に排出された水は外部へ逃げてしまうので,比較的高温になりやすいと考えられる.一方,緻密質のアルミナでは脱水によって排出された水は試料内に留まり,水圧となるので更なる脱水反応の加速や高温下を抑制すると考えられる.
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Research Products
(4 results)