2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J40022
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山崎 輝美 (長井 輝美) University of Toyama, 理工学教育部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 絶滅危具種 / 生物多様性 / 保護 / マイクロサテライト / 生殖的隔離 / ボトルネック / 創始者効果 / 生殖細胞因子 |
Research Abstract |
1、定期調査により、富山県下の河川ではスナヤツメ南方種は5月から6月が産卵期であることが判明した。スナヤツメ北方種および南方種は隠蔽種であり、外見上に差異は認められないが遺伝的に異なる生物である。北方種の産卵期が12月から2月であることから(前年度報告済み)、産卵期の違いに基づく生殖前隔離により富山県下の河川では北方種と南方種の交配はないものと推察される。 2、ヤツメウナギ類の種分化においては、川と海とを回遊する種(カワヤツメ)から一生を河川内で過ごす種(スナヤツメ)が生じてきたと考えられている。福島県内陸部においては、ダム上流部の河川に生息するカワヤツメ集団が確認され、この集団は河川型の生活様式を有すると考えられる。そこで、この河川型集団が他の回遊型集団からどのくらい遺伝的分化を遂げているかを明らかにすることを目的として、マイクロサテライトマーカーを用いた解析を行なった。アリル頻度を比較した結果、河川型集団と回遊型集団との間には有意な遺伝的分化の存在が示唆された。さらにベイズ法に基づく集団構造の推定を行なった結果においても、河川型集団は回遊型集団とは異なる交配集団であることが示され、前者が遺伝的な独自性を有することが確認された。そして河川型集団の遺伝的多様度は、回遊型集団のそれに比べて低く、前者の遺伝的多様性は低いと推察された。このことは、河川型集団が生じた際の創始者効果あるいはボトルネックに起因すると考えられる。以上のことから、福島県内陸部集団は、河川型個体のみで構成された遺伝的な独自性を有する存在で有り、従来の種分化仮説における創始者集団に相当する可能性がある。 3、生殖細胞因子を探索するためにスナヤツメ北方種の卵巣よりtotal RNAを抽出し、3'RACEおよび5'RACEを試みたが、薬品並びにプライマーの適合性が低く、現在までにcDNAの合成は果たされていない。
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Research Products
(1 results)