2008 Fiscal Year Annual Research Report
近世中小都市の経済と女性のライフコースおよび歴史人口学データベースの整理と作成
Project/Area Number |
06J40043
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
高橋 美由紀 Sophia University, 経済学部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 経済史 / 日本史 / 歴史人口学 / 都市史 / 歴史資料 |
Research Abstract |
2008年度は、以下の二点から共同研究を行った。第一点は、一つの町(陸奥国二本松藩)に限定して観察していた人口変数を、周辺農村部の人口変数と比較した。これは、同じ二本松藩である農村部の史料を用いて研究を行っている、麗澤大学の黒須里美教授との共同研究として進めた。その結果、同地域であることに起因する同質性を多く発見した。例えば、結婚・離婚行動で、男性は社会階層が高い方が早く結婚すること、女性では家付き娘の方が離婚をしやすいことである。これは、経済的状況により結婚・離婚行動が異なるが、地域としての規範は同じであることを示唆する。しかし、飢饉時の対応には町場と農村とで相違が見られた。飢饉からの人口回復は郡山という町場の方が早いことは、すでに得ていた知見であったが、地理的移動などにも差が見られた。第二点は、経済の最小単位である家族の分析である。これも郡山という町場と周辺及び会津農村部との比較として行った。これは、帝京大学岡田あおい教授との共同研究で、基本的な人口変数及び世帯規模の比較を行った。太平洋側東北日本では直系家族が規範となる家族形態であり、この形態により農業が営まれ、村の存続にも大きな役割を果たしてきたことが知られている。郡山町には農業以外の労働も存在するが、商家など家を単位に生産活動を営むところでは、同様の形態がとられていた。 2008年度は、研究成果を海外に発信することに重点をおき、海外での学会報告を二度行った(2月のリスボン及び10月のマイアミ)。学会報告では、海外でも同様の研究が行われていること、史料的問題も共有していることを知った。さらに、麗澤大学歴史人口学プロジェクト室で、歴史データ管理の問題にも携わり、史料の保管とその管理媒体についても考えさせられた。史料の保管・保存は、世界的に重要な問題であり、国家の歴史文化保存という観点から、広く考えていく必要性を痛感した。
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Research Products
(9 results)