2007 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞を用いた骨欠損・骨代謝疾患の治療法の開発
Project/Area Number |
06J40050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 晶子 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 再生医療 / 骨粗鬆症 / 歯髄由来幹細胞 |
Research Abstract |
研究計画に基づき、ヒト脱落乳歯歯髄由来間葉系幹細胞(SHED; stem cells from human exfoliated"deciduous teeth)に発現する遺伝子プロファイルを作成し、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞との比較を行っている。この解析の中でSHEDでは骨髄由来間葉系幹細胞と比較し、ある血管作動性ペプチドの発現が増加していることが明らかとなった。所属研究室でこの血管作動性ペプチドの過剰発現マウスを所有していたことからマウスの骨表現型の解析も行った。その結果、肝臓でペプチドが過剰産生され血中濃度が上昇するこのマウスでは、野生型マウスと比較し長軸方向の成長には差がないものの、骨梁の形成が発達し、骨吸収が抑制されていることが明らかとなった。また、このペプチドはvitroで間葉系幹細胞に作用し、その骨芽細胞への分化を促進することもわかった。これらの結果はSHEDの骨誘導作用の機序を考える上でも重要であるが、骨形成促進・骨吸収抑制の両方に作用し得る因子の発見としても重要であり、現在このマウスの骨表現型の解析をさらに進めている最中である。間葉系幹細胞に発現する因子が骨形成促進に働くのみならず、骨吸収抑制にも働くことが明らかとなれば、間葉系幹細胞を用いた細胞治療や新たな創薬の可能性が産まれると思われる。 また、間葉系幹細胞を用いた新たな骨再生治療法の開発のため、マウスの骨欠損モデルを作成し、細胞の投与方法についても検討中である。ヌードマウスの頭蓋骨や脛骨に数種類のサイズの径の骨欠損を作成し、間葉系幹細胞を経静脈的あるいは局所に投与する。治癒過程を経時的に観察し、細胞投与の効果が最も安定して見られる系を確立中である。さらに実際の臨床において骨変形や軟骨無形成症の患者を対象に行われている骨延長術(イリザロフ法とも呼ばれる)をマウスに応用する系もほぼ確立しつつある。今後は投与された間葉系幹細胞が骨再生過程にどのように関与するのか、異なる組織由来の間葉系幹細胞では骨再生能力に違いがあるのか等検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)