2008 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞を用いた骨欠損・骨代謝疾患の治療法の開発
Project/Area Number |
06J40050
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 晶子 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | 間葉系幹細胞 / 再生医療 / 骨粗鬆症 / 歯髄由来幹細胞 |
Research Abstract |
ヒト脱落乳歯歯髄由来開葉系幹細胞(SHED;stem cells from human exfoliated deciduous teeth)とヒト骨髄由来間葉系幹細胞との発現遺伝子プロファイルの比較から、SHEDでは骨髄由来間葉系幹細胞と比較し、ある血管作動性ペプチドの発現が増加していることが見出された。両細胞からのこのペプチドの分泌についてRIA法で測定を行ったが、遺伝子発現と同様の結果が得られた。そこで、このペプチドについて機能解析を行ったところ、in vitroにおいて間葉系幹細胞に作用し、その骨芽細胞への分化を促進することがわかった。加えてこのペプチドは破骨前駆細胞にも直接的に作用し、破骨細胞分化を抑制していることも明らかとなった。このペプチドが骨芽細胞の増殖やアポトーシスに関与するとの報告はあるが、破骨細胞への直接作用はこれまで報告がない。また、この血管作動性ペプチドが肝臓で過剰産生され血中濃度が上昇する遺伝子改変マウスでは、野生型と比べ骨梁の形成が発達し、骨吸収が抑制される傾向が見られた。間葉系幹細胞に発現する因子が骨形成促進・骨吸収抑制の両面に働く可能性が示唆され、新たな創薬の可能性が期待される。現在このペプチドが破骨細胞分化を抑制するメカニズムや骨粗鬆症モデルにおけるこのペプチドの治療薬としての意義についてさらに検討を行っている。また、間葉系幹細胞を用いた新たな骨再生治療法の開発のため、マウスの骨欠損モデルを作成し、細胞の投与方法についても検討してきた。イリザロフ法と呼ばれる骨延長術をマウスに試み、これにSHEDを投与し、骨欠損部での骨再生過程を観察した。SHED投与群において非投与群と比較し、骨再生が促進される傾向が認められた。細胞のみを投与する場合、局所投与、経静脈的全身投与の間で明らかな差を認めなかった。hydroxyapatiteとβTCPを混合した担体とともに細胞を局所投与する方法において最も骨誘導の効率が良かった。由来組織の異なる間葉系幹細胞における骨再生能力の違いや、骨粗鬆症への細胞治療の可能性についても今後検討していく予定である。
|
Research Products
(2 results)