2008 Fiscal Year Annual Research Report
エンドサイトーシスにおけるクラスリン被覆小胞のエンドソームへの輸送機構の解析
Project/Area Number |
06J40104
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
十島 純子 Tokyo University of Science, 基礎工学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 細胞内輸送 / エンドサイトーシス / アクチン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
平成20年度は研究計画に沿い以下の点について重点的に研究を行った。研究計画1)については(研究計画1-2)クラスリン被覆小胞と初期エンドソーム、アクチンケーブルの時間的空間的局在の解析、および(研究計画1-3)クラスリン被覆小胞とエンドソームの会合に異常がある変異体の解析、について中心的に行なった。これまでの研究において、私はクラスリン被覆小胞が細胞膜から切り離された後、アクチンケーブルを介して初期エンドソームへと輸送されていくことを発見した。しかし、どのような分子機構でアクチンケーブルがクラスリン被覆小胞の部位を認識し、クラスリン被覆小胞が初期エンドソームと繋がっているかは全く分かっていない。そこで、私はアクチンケーブルがエンドサイトーシスのどの時期にクラスリン小胞の場所へ現れるかを解析した。エンドサイトーシスの過程を3段階に分け、それぞれの過程で働くタンパク質であるYap1801p、Sla1p、Abp1pをmRFPまたはmCherryで蛍光標識し、各段階のマーカーとした。また、アクチンケーブルはAbp140-3GFPで標識し、Yap1801-3RFP、Sla1-mCherry、Abp1-mRFPを発現する細胞と共発現させ、それぞれの段階のエンドサイトーシスのマーカーと比較することによりアクチンケーブルがエンドサイトーシスのどの段階で集積するかを解析した。その結果、アクチンケーブルはSla1pより後でAbp1pより前に現われることが分かった。 次に、アクチンケーブルを介したクラスリン小胞の取り込みを調節しているタンパク質を同定するために、エンドサイトーシス関連タンパク、エンドソーム関連タンパクを合わせた、約300種類のタンパク質に対して、その遺伝子欠損変異体を作成した。これらの変異体にアクチンケーブルの蛍光標識を行ない、その動態を網羅的に解析した。現在までのスクリーニングの結果、5種類の遺伝子欠損変異体で明らかなアクチンケーブルの異常が認められた。現在これら異常が認められた変異体について詳細な解析をすすめつつ、残りの変異体について順次スクリーニングを行なっている。研究計画2)の初期エンドソームのエンドサイトーシス部位への移動の分子メカニズムに関しては、Alexa-a-fctortこより蛍光標識したエンドソームの動態について詳細な解析を行い、初期エンドソームは後期に比べて平均速度が速いことが分かった。このことから、それぞれのエンドソームは特性が違うことが示唆され、現在、初期エンドソームを特異的かつ恒常的に標識すろマーカーの探索を行なっている。
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