2006 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカトリパノソーマの病原性因子の探索および機能解析
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06J50052
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
久保木 基高 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アフリカトリパノソーマ血液型 / トランス・シアリダーゼ(TS1) / ワクチン効果 / マンノース被覆オリゴマンノースリポソーム(OML) / 虫体可溶物 / インターフェロンガンマ(IFN-γ) / トキソプラズマ感染 / OML ワクチン効果 |
Research Abstract |
トリパノソーマ病原性因子を同定するため,第一に,貧血発生因子トランスシアリダーゼの着目し,トリパノソーマ昆虫型で報告されているシアリダーゼ様遺伝子断片(TS1およびTS2)のトリパノソーマ血流型での発現解析,虫体シアリダーゼ活性,およびワクチン接種による感染に対する貧血阻害および感染防御効果を検証した。その結果,血流型でのTS1発現が確認され,TS1免疫マウスではパラシテミア阻害効果はみられなかったものの,貧血阻害および感染防御効果が認められた。よって,血流型発現TS1は原虫病態と関連があると考えられた。 第二に,病原性因子とワクチン分子には関連があると仮定し,効果的なワクチン開発およびワクチン抗原スクリーニングを目的に,マンノース被覆オリゴマンノースリポソーム(OML)のアジュバンド効果を解析した。すなわち,リーシュマニア感染に対し,虫体可溶物封入OMLの抗原特異的1型ヘルパーT(Th1)免疫応答誘導能,および感染防御効果の報告(清水ら,2003および2007)を基に,アフリカトリパノソーマ,トキソプラズマ,およびバベシア感染に対するOMLのワクチン効果を解析した。その結果,虫体可溶物封入OMLのワクチン効果はトキソプラズマ感染でみられたものの(生存率57%),アフリカトリパノソーマおよびバベシア感染ではみられなかった(同0%)。また,アフリカトリパノソーマ虫体可溶物封入OMLは,陽性コントロールであるウシ血清アルブミン(BSA)封入OMLに比べ,回収脾臓細胞培養上清中のインターフェロンガンマ(IFN-γ)誘導能を抑制した。 本研究より,TS1は病原性因子であることが明らかとなった。また,OMLワクチン効果は封入抗原に依存していることから,様々な原虫遺伝子組換え体の封入OMLワクチン効果を解析すれば,病原性候補遺伝子のスクリーニングが可能と考えられた。よって現在,TS1を含めた組換え体封入OMLワクチンを製作し,その効果を解析中である。
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