2006 Fiscal Year Annual Research Report
シガトキシンの実践的全合成を基盤としたナトリウムチャネル活性化機構の解明
Project/Area Number |
06J50072
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 圭輔 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シガトキシン / 51-hydroxyCTX3C / 毒性発現機構 / 構造活性相関 / プローブ / F環部 / 遅いコンフォメーション変換 / アナログ |
Research Abstract |
シガトキシン類の毒性発現機構解明のために、シガトキシン類の中で最も強力な毒性を持つ51-hydroxyCTX3CのB環部の水酸基に、biotinを導入したシガトキシンプローブを合成した。そして、それらプローブを用いた電気生理学的実験において、その活性の消失を確認した。このことから、B環部水酸基、もしくは分子左側構造がシガトキシン類の毒性発現に重要な役割を果たしているという知見と、biotinや光親和性プローブの導入はM環部水酸基に対して行う必要があることが分かった。 一方、シガトキシン類の強力な毒性発現には、9員環であるF環部の遅いコンフォメーション変換が影響していると予想されていた。そこで、F環部の構造を改変したアナログを用い、その構造活性相関研究によってF環部と毒性の関係についての知見を得ることを計画した。そこで、F環部が縮環していないより柔軟なアナログと、F環部が8員環であるより剛直なアナログを合成した。そして、これらアナログを用いて生物活性試験を行った。始めに二つのアナログのNa^+チャネルに対する結合活性を調べた結果、天然物と比較して約1万倍以上の大幅な活性の低下が確認された。次に毒性試験を行ったが、いずれもマウス急性毒性は全く示さなかった。一方、Neuro-2A細胞毒性試験においては顕著な細胞毒性を示したが、その細胞毒性は天然物と比較すると数万倍以上弱いことがわかった。このことから、F環部が柔軟・剛直なアナログは、Na^+チャネルに作用を及ぼすが、その機能改変能は著しく低下するという興味深い知見を得た。すなわち、F環部の原子レベルでの構造がその生物活性発現に極めて重要であることを初めて明らかにした。
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Research Products
(3 results)