2006 Fiscal Year Annual Research Report
鉄アルミ基合金の熱力学的データベースの構築と低比重高強度鋼の開発への応用
Project/Area Number |
06J50082
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神谷 尚秀 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低比重鋼 / 熱力学データーベース / Fe-Al基合金 / ペロブスカイト炭化物 / CALPHAD |
Research Abstract |
低比重鋼の基本系であるFe-Al-Mn-C-Cr-Si 6元系を構成する各2元系、3元系の過去にある実験データを整理、熱力学的パラメータを評価して合理的なパラメータに統一し、熱力学データベースの基盤を整備した。さらに、再解析が必要であったFe-Al-C、Mn-Al-C、Fe-Mn-Cr各3元系に関して熱力学パラメータを決定した。特にFe-Al-C 3元系に由来するκ相は熱力学モデルを検討することでκ相の特徴の1つである広い単相域と化学量論組成からのずれをよく再現している。更にFe-Mn-Al-C、Fe-Mn-Al-Cr、Fe-Al-Cr-C、Fe-Al-Si-C 4元系に関しては実験を行い、γ相とα相、κ相へのMn、Cr、Siの分配挙動を明らかにし、熱力学的解析を行うことで熱力学データベースの精度が向上した。 この熱力学データベースからの計算結果を基にγ相が母相となる組成を予想して、実際に低比重鋼を試作した。強度、比重、冷間圧延率を調査したところα相が析出していない試料で機械的特性に優れていることが分かり、計算状態図から高温でγ相単相域となる組成での低比重鋼の機械的特性を詳細に調査した結果、κ相をナノオーダーで組織制御することで1000MPa近い引張応力と60%を超える伸びを示す比重が6.67の低比重高強度鋼の開発や、引張試験中の変形応力の上昇が少ない低加工硬化の現象を見出した。また、AlをSiで置換することにより優れた機械的特性を保ちつつMnやCを低減することに成功した。
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