Research Abstract |
貴金属(Pd, Pt, Rh)単結晶上での,CO酸化(CO+O_2,CO+NO, CO+N_2O)反応を定常状態で行った.本研究のように,単結晶上において定常的な触媒反応を行う研究例は,世界的に見ても少ない.さらに,生成分子の赤外化学発光を測定することによって,反応の遷移状態に関する情報を報告しているのは,我々のグループのみである. CO+O_2反応に関して,Pd(111),Pt(111),Rh(111)上で行った.反応速度・反応開始温度は,金属によって大きく異なった.赤外発光測定の結果から,いずれの表面でも変角振動が励起したCO_2分子が生成することがわかった.これは,その平坦な表面構造に大きく依存していると考えられる.しかし,その振動励起状態の大きさは,金属によって大きく異なった.このことから,活性錯合体の構造が,同じ平坦な表面でも,金属によって異なることが示唆された.また,同じ金属上における反応でも,表面構造(Pd(110),Pd(111),Pt(110),Pt(111))が変われば,生成分子の振動励起状態あるいは活性錯合体構造が異なることを見出した.特にPt(110)表面は,COの被覆率によって表面構造を変化させるため,被覆率の小さい領域では,変角振動が励起し,Pt(110)(1×2)上で曲がった活性錯合体を経るのに対し,被覆率の大きい領域では,逆対称伸縮振動が励起することから,Pt(110)(1×1)上でより直線的な活性錯合体を経ることが明らかとなった. 酸化剤をNOやN_2Oに代えると,反応速度も非常に大きく変わることがわかった.特に,Pd(110)上でのCO+N_2O反応は,酸化力がO_2よりも大きなN_2Oであるにも関わらず,反応速度の大きさが20分の1になることがわかった.これは,N_2Oの解離速度が小さいため(N_2O解離が律速)だと考えられる.
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