2006 Fiscal Year Annual Research Report
急性低圧下における高強度運動中の呼吸代謝応答に関する研究
Project/Area Number |
06J50143
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小川 剛司 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低圧環境 / 低酸素 / 最大酸素摂取量 / 換気量 / 運動 |
Research Abstract |
高地トレーニングは運動競技者の問で用いられているが,低圧下での運動能力および呼吸代謝応答が十分に明らかでない.さらに低圧下での最大酸素摂取量(VO_<2max>)低下のメカニズムは十分に明らかでない.そこで本研究では,これら低圧下での運動における不明な点を調べるために実験を行った.高地トレーニングを行うような競技者において,低圧下での運動能力および呼吸代謝応答を調べた実験では,低圧下ではVO_<2max>は大きく低下し,持久的な運動能力も低下した.一方で,短時間の運動を繰り返したときは,低圧下で有酸素代謝の寄与が低下しても,無酸素代謝がエネルギー供給を補償することで運動能力は維持された.VO_<2max>の低下の要因について,呼吸循環応答メカニズムに注目して実験を行った.換気量に対する機械的な制限に注目した実験では,ヘリウム吸入による呼吸抵抗の軽減によって低圧下での運動中の換気応答および.VO_<2max>が通常大気吸入時と比較して高値を示し,機械的な呼吸抵抗が低圧下での運動時の呼吸循環応答に影響を及ぼすことが示唆された.また,低酸素に対する呼吸や心拍の化学感受性(HVRおよびHHR)に注目して行った実験では,HVRは運動強度が強くなるにしたがって高くなったが,HHRは安静時と運動時において差は見られなかった.また,安静時と運動時のどちらで測定したHVRでも低圧下の最大運動時の換気量およびVO_<2max>と同様の相関関係がみられた一方で,HHRと低圧下での運動時の呼吸循環応答と有意な関係は見られなかった.以上の結果から,低圧下でのVO_<2max>の低下には換気応答が重要であることが示唆された. 以上の研究成果は,今年度国際誌1件掲載,学会発表1件で公表済みであり,現在国際誌1件査読中,来年度5月に国際学会にて1件発表予定である.
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Research Products
(2 results)