2006 Fiscal Year Annual Research Report
M期染色体凝縮の異常によって誘導される新規細胞死の解析
Project/Area Number |
06J50522
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 洋平 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞死 / 細胞周期 / 染色体凝縮 / Tetraploidy / eEF1A / CNBP |
Research Abstract |
(1)我々はこれまでに、M期の染色体凝縮異常によってeEF1A1の発現減少によるアポトーシスとは異なった細胞死が誘導されることを見出していたが、eEF1A1の発現制御メカニズムは不明であった。eEF1A1の発現抑制機構にはeEF1A1 mRNAの非翻訳領域(UTR)が関与していることを示唆する予備的なデータを得ていたことから、レポーター遺伝子であるd2EGFPの上流あるいは下流に、EEF1A1遺伝子のUTR配列を繋いだコンストラクトを作成し、細胞死誘導時におけるd2EGFPの発現量の変化を調べたところ、eEF1A1の発現制御にeEF1A1 mRNAの5'UTRが関与していることを見出した。加えて、eEF1A1 mRNAの5'UTRにはこれまで機能未知であったRNA結合タンパク質であるCNBPが結合し、eEF1A1の翻訳を抑制することでeEF1A1の発現減少を誘導していることを見出した。 (2)eEF1A1の相同分子であるeEF1A2が多くの癌組織において過剰発現している例が数多く報告されているが、このような癌細胞では、eEF1A1の発現低下を伴った細胞死誘導機構が働かなくなったがゆえに癌化に至った可能性が考えられた。そこで、そのような癌細胞株であるヒト乳癌由来MCF-7細胞株においてeEF1A2の発現をRNAi法によって抑制したところ、染色体凝縮異常を誘導した際の細胞死が亢進することを見出した。このことから、eEF1A2の過剰発現はeEF1A1の発現低下による細胞死を抑制し、細胞癌化を亢進させている可能性が考えられた。なお、(1)と(2)の研究成果については現在論文投稿中である。 (3)染色体凝縮異常を伴った細胞死誘導時には多くの遺伝子の発現が変化していることが考えられるため、それを網羅的に解析する目的で、既に樹立している誘導型shRNA発現システムを用いたhCAP-E(コンデンシンのサブユニット)の発現抑制系を用いてマイクロアレイ法を行い、発現量が大きく変化する遺伝子群を同定した。現在、これらの遺伝子の過剰発現あるいはRNAi法による遺伝子の発現抑制により、細胞死に与える影響を解析中である。
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