2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J50532
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 博視 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 水チャネル / アクアポリン4 / グリア細胞 / オーソゴナルアレイ / 凍結割断レプリカ法 / SDS-FRL |
Research Abstract |
哺乳類の脳に存在する水チャネルの中で最も主要なサブタイプであるアクアポリン4は、グリア細胞の特殊な膜細胞上に存在して、分子が直交配置したオーソゴナルアレイと呼ばれる構造体を形成する。このアレイ形成はアクアポリン4が持つ2種のアイソフォーム(M1,M23)によって制御されており、M1のみに存在するN末端が存在することによってアレイ形成が阻害されると考えられていた。そこで、我々はオーソゴナルアレイの観察することのできる唯一の方法である凍結割断レプリカ法を導入し、またレプリカ膜に対して抗体標識することを可能にするSDS-FRL法を導入することで、CHO細胞に発現させたアクアポリン4の電顕レベルでの分布を直接観察し、さらにM1、M23それぞれのアレイ形成能を再現確認することに成功した。その上で、M1の配列からN末端アミノ酸残基を漸次的に除去した変異体コンストラクトを多数作成し、アレイ形成能についてSDS-FRL法により調べたところ、N末端を16残基除去するまではM1と同様にアレイを形成しないが、17残基以上除去するとアレイが形成される事が明らかになった。しかし、その場合でもM23と全く同じ表現型を示すのではなく、発現する細胞によってはアレイの外にもアクアポリン4分子が漏れて散在しており、その度合いもコンストラクトごとあるいは細胞ごとによって観察結果が変動するような表現型であった。この様に、表現型の差が明確になる区切りが存在しなかったことから、N末端中の特定のアミノ酸残基ただひとつがアレイ形成阻害に効いているのではなく、ある幅をもった領域が構造的に重要な配列をもっており、それがN末自身の長さという因子と共に機能している事が示唆される。
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