2006 Fiscal Year Annual Research Report
水棲哺乳類の核内受容体CARを利用した水圏高次生態系のリスク評価
Project/Area Number |
06J50762
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
酒井 大樹 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | CAR / バイカルアザラシ / レポーター遺伝子アッセイ / 表面プラズモン共鳴解析 |
Research Abstract |
本研究では,残留性有機汚染物質(POPs)を高蓄積している水棲哺乳類のバイカルアザラシを対象とし,これら物質を含む環境汚染物質の暴露による核内受容体CARシグナル経路を解明すること,さらに他種とその経路を比較することにより,環境汚染物質暴露に対する種ごとの感受性の大小を評価することを目的とした。 (1)In vitroレポーター遺伝子アッセイを用いて環境汚染物質によるバイカルアザラシCAR転写活性化能を解析したところ,バイカルアザラシCARはPOPsを含む広範な環境汚染物質により活性化されることが明らかになった。また,一部の化学物質については,対照生物として用いたマウスより敏感に応答し,CAR転写活性化能プロファイルに種間差があることを確認した。 (2)バイカルアザラシCAR標的遺伝子を探索するため,同種のCYP2B・3A遺伝子それぞれで,3.2kb・2.3kbpのプロモーター配列を同定することに成功した。また,レポーター遺伝子アッセイを用いてCARによる両遺伝子プロモーターの活性化能を解析した結果,本研究で同定したプロモーター領域内に機能的なCAR応答配列は存在しないことが示唆された。しかしながら,本研究で同定した配列よりさらに上流域にCAR応答配列が存在する可能性があり,この点については今後の研究課題と考えられた。 (3)CARと化学物質の相互作用を評価するために,小麦胚芽抽出液を用いたバイカルアザラシおよびマウスCARタンパク質の合成系を確立した。また,マウスCARと相互作用するタンパク質のSRC1に対し,一部のCARアゴニストの濃度依存的にCARとSRC1の相互作用が大きくなることを,表面プラズモン共鳴解析により確認した。今後,バイカルアザラシCARで同様の解析をおこない,CAR-SRC1タンパク質相互作用に及ぼす環境汚染物質の影響を定量的に評価する予定である。
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Research Products
(2 results)