2006 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞におけるミエロペルオキシダーゼを介したレドックス反応と白血病治療反応性
Project/Area Number |
06J50822
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
澤山 靖 長崎大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ミエロペルオキシダーゼ / 急性骨髄性白血病 / AraC / 活性酸素 / チロシンニトロ化反応 |
Research Abstract |
【目的と方法】急性骨髄性白血病(AML)芽球のミエロペルオキシダーゼ(MPO)陽性率と症例の化学療法感受性には相関がありMPO高発現群は有意に全生存率が高い。そこで、MPO蛋白質の発現がAML細胞の化学療法感受性と関連しているという仮説のもと、MPO陰性骨髄性白血病細胞株K562にMPO遺伝子を導入、抗癌剤に対する感受性の変化とレドックス反応の関与を検討した。【結果】MPO遺伝子を導入したMPO活性陽性K562細胞株(K562-MPO)、非活性型MPO発現細胞株並びにコントロール細胞株を樹立。通常培養条件下では増殖に差はなかったが、抗癌剤AraC添加によってK562-MPOはアポトーシスにより他の二者より早期に死滅した。AraC処理後、他の細胞株と比べK562-MPOでは活性酸素が多く合成されていた。活性酸素合成は抗酸化剤NACにより抑制された。MPOは活性酸素同様、活性窒素を合成することも報告されている。K562-MPOでは活性窒素による酸化傷害の指標である細胞内のチロシンニトロ化反応が増強していた。さらに症例検体でもMPO高発現例でチロシンニトロ化反応が増強していることが確認できた。【結論】K562にMPO蛋白を発現させた細胞株は、コントロールおよび非活性型MPO発現細胞株と比較してAraC処理後アポトーシスにより早期に死滅した。K562-MPOではaraC添加により活性酸素が合成された。K562-MPOおよびMPO高発現症例検体ではaraC処理により細胞内蛋白質のニトロ化反応が強く起こった。【まとめ】MPOはaraCによる活性酸素合成の増強および細胞内蛋白質のチロシンニトロ化反応の増強により細胞のアポトーシスを促進していると推測された。白血病細胞に存在するMPO活性が化学療法剤感受性を上昇させている可能性が示唆された。
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