2006 Fiscal Year Annual Research Report
超音波を利用して合成したバイオディーゼル燃料の排ガス特性に関する研究
Project/Area Number |
06J50872
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
TO Thi Hien 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多環芳香族炭化水素類 / ニトロ化多環芳香族炭化水素類 / ディーゼル排気粒子 / バイオディーゼル燃料 / 変異原性 / 超音波 |
Research Abstract |
てんぷら油など植物由来の食用油とアルコールのエステル交換反応から得られる一価のアルコールの有機酸エステルは、軽油と似た燃焼特性を示すことからバイオディーゼル燃料(BDF)と呼ばれる。BDFはバイオマス由来であることからCO2排出削減に貢献する燃料として、また石油枯渇に対する再生可能燃料の一形態として注目されている。 当研究グループでは超音波作用を利用したBDF製造技術の開発を進めてきた。本研究では、BDF使用の環境影響評価の一環として軽油燃焼排気粒子中に含まれるがん誘発性物質として知られる多環芳香族炭化水素(PAHs、本研究では11種),ニトロ化多環芳香族炭化水素(NPAHs、同じく8種)および3-ニトロベンズアントロン(3-NBA)につき,BDF/軽油を種々混合比で混ぜた燃料およびBDF、軽油それぞれ100%燃料の燃焼排気粒子中の濃度を測定し、比較した。 その結果,排気粒子中PMs, NPAHs濃度は,軽油含有率の低下と共に減少し、BDF100%では軽油100%燃料燃焼時に比べ11〜56%にまで減少したのに対し,3-NBA濃度は80%となるにとどまった。軽油におけるPAHsやNPAHsの生成原因と考えられる芳香族化合物をBDFに含有させる(本研究ではベンゼン)ことによる,燃焼排気粒子中PAHs濃度の増加は観察されなかった。BDF燃焼時におけるPAHs,NPAHs発生量の減少は,燃料中の芳香族成分ではなく酸素含有量に強く影響された結果であると推測された。一方,3-NBAのような含酸素有機化合物の排出に対して,BDFは抑制効果が小さいことがわかった。BDF燃焼排気粒子中の可溶性有機画分の変異原活性(発がん性の一つの目安)は軽油燃焼時の約20%にまで抑制され,軽油に対するBDFの代替使用はディーゼル排気粒子による健康被害を低減する上でも極めて有効であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)