2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属間化合物における新奇超伝導体の開発及び、超伝導機構の解明
Project/Area Number |
06J50892
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
芥川 智思 青山学院大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超伝導 / 金属間化合物 / 2ギャップ超伝導体 / 炭化物 / 軽元素 |
Research Abstract |
金属間化合物超伝導体Y_2C_3の超伝導状態について詳細な情報を得ることを目的として研究を行ってきた。この目的を遂行するために、核磁気共鳴測定(NMR)を行うことを本年度の計画とした。 極低温まで行ったNMR測定の結果、比熱測定と同様に基本的にはBCS的なs波の強結合超伝導体であることを示す結果が得られた。さらに十分低温で小さなギャップの存在を観測しており、マルチギャップの超伝導体であることを明らかにした。さらにナイトシフトからスピン帯磁率が転移温度以下で減少したことから、クーパー対はスピンシングレットを形成していることを明らかにした。 また、超伝導の混合状態に関する情報を得る為に、空洞共振器摂動法によるフラックスフロー抵抗測定を行った。Y_2C_3のフラックスフロー抵抗は磁場に対して非線形に振る舞う結果が得られた。このことはY_2C_3の磁束線が常伝導コアを仮定した場合に比べてより大きなエネルギー散逸を示すことを意味している。そして、この振る舞いについては、2ギャップ超伝導体のフラックスフローの理論モデルでよく説明出来ることを明らかにした。 これらの研究成果は、日本物理学会、アメリカ物理学会あるいは日本物理学会による学術雑誌であるJournal of the Physical Society of Japan (J.Phys.Soc.Jpn.)等に公表されており、MgB_2に続く2ギャップ超伝導体の例として高い評価を受けている。
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Research Products
(2 results)