2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本から見たシンガポール抗日文学の基礎的研究 -郁達夫を中心として
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06J51021
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
若木 奈津美 法政大学, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 郁達夫 / シンガポール:中国 / 1930年代の文学 / 戦前期の言説 / 新聞史 / 抗日文学 / 中国華僑 |
Research Abstract |
2006年度科研費を利用し、2006年8月一週間シンガポール現地調査へ行き、シンガポール国立図書館、シンガポール国立大学での調査を行なった。結果、シンガポール国立大学図書館において、1939年の1月初めから5月末まで約半年間の『星洲日報』文芸欄の細目を作成した。1939年は郁達夫が編集者として赴任した年である。また、新聞記事を分析し、当時の抗日の動向についての調査を行なった。さらに、華僑が発行していた新聞が主宰していた文芸誌に着目、シンガポール国内での文芸誌研究についても着手している。特に、『南洋商報』の「獅声」、『星洲日報』の「星洲日報文芸副刊」は思想的にも対立していたことが現在判明している。そしてこの裏には、両紙の経営者が商敵だった背景が伺える。この研究成果は次年度以降で発表する所存である。特に、中国文学者の郁達夫の編集者としての動向について研究を進めている。 また、戦前期の中国華僑の動向について日本人がどのように研究を進めていたかということについて研究し、論文としてまとめた。特に、中国研究者・井出季和太、詩人・金子光晴の論を用い、いかに一般に南洋侵出論が進められたかについてまとめた。「南進」論や中国との関係悪化に伴い、華僑に対する偏見の眼差しをもって研究を進めていたことが判明した。そして、同様の内容を繰り返し論じ、出版することによって一般に論が流布したと考えられる。 以上、本年度はシンガポール、日本両側からシンガポール戦前期の新聞の動向について調査することができた。
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Research Products
(2 results)