2007 Fiscal Year Annual Research Report
原水水質に対応した合理的な膜選択および運転制御理論の確立
Project/Area Number |
06J52032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山村 寛 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | MF / UF膜 / 原子間力顕微鏡 / コロイドプローブ / 物理的に不可逆的な膜ファウリング / 多糖類 / 水素結合 / 親水性有機物 / ファウリングメカニズム |
Research Abstract |
様々な原水から回収した有機物を用いたベンチスケール膜ろ過実験 昨年度行ったパイロットスケールろ過実験では、糖類が主なファウリングの原因物質であることが明らかとなった。本年度は昨年度に得られた結果の汎用性を検討するために、日本全国から様々な特性を有する水道水源から有機物を回収し、ベンチスケールろ過実験を行った。回収した有機物を疎水性/弱疎水性/親水性成分に分画したものを原水としてろ過実験を行った結果、どの原水から回収した有機物についても、親水性画分をろ過した際に顕著なファウリングの進行が観察された。疎水性画分をろ過した際には、ファウリングの進行はほとんど観察されなかった。このことは、原水中に含まれる親水性画分が主なファウリングの原因物質であることを示すものである。 原子間力顕微鏡(AFM)を用いた糖類と膜面間の親和性の評価 糖類によるファウリング進行メカニズムを検討するために、親水性画分と膜表面との親和性の評価を試みた。糖類中には多くのヒドロキシル基が存在しており、糖類と膜表面との親和性はヒドロキシル基の膜表面への付着力を測定することで評価できると考えられる。そこで本研究では、原子間力顕微鏡を用いて、ヒドロキシル基を修飾したビーズの膜面への付着力を測定することで、糖類と膜面間の親和性を評価した。ヒドロキシル基とカルボキシル基のPVDF膜面への付着力測定した結果、ヒドロキシル基はカルボキシル基よりも遥かに高い付着力を示すことが明らかとなった。これは、ヒドロキシル基と膜面間に水素結合が働いていたことに起因するものと考えられる。ヒドロキシル基の付着力をPVDF膜とPE膜で比較した際には、PVDF膜の方がより高い付着力を示した。過去に行ったパイロットスケール膜ろ過実験では、PVDF膜の方がPE膜と比較してよりファウリングが急速に進行したことから、本研究で行ったAFMによるヒドロキシル基の付着力を測定することで、閉塞しにくい膜の選択が可能になると考えられる。
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Research Products
(9 results)