2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J52092
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷島 尚宏 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地球科学 / 地震学 / 地球電磁気学 / ソリトン / 非線形力学系 / 微分・位相幾何学 / フィンスラー幾何学 / 河口空間 |
Research Abstract |
地球物理現象に見られるソリトン系を幾何学的に表現するために,地震波線理論及び地球ダイナモモデル(力武ダイナモ系)に対して,微分・位相幾何学的手法による研究を行った. 異方性媒質中の地震波線の研究において導入されてきた波線のラグランジアンは,結晶(鉱物)のラグランジアンを一般化した形になっているが,その一般化の過程は明らかにされていなかった.本研究では結晶のラグランジアンを岩石のものへと拡張することよって,一般化がなされていることを示した.さらに,異方性を表す幾何学的パラメーターを岩石中の素元波面から求め,その値から素元波面の包絡面の形がフラクタル的になることを明らかにした.また,このパラメーターによって地球内部物質の異方性や配向性を見積もることができることを述べた. 地球の外核中の電磁流体運動を簡単化した力武ダイナモ系では,磁場の変化は相空間内の軌道として表される.本研究では,Kosambi-Cartan-Chernによる軌道の幾何学(KCC理論)を用い,フィンスラー空間上の振率テンソルにより,磁場の非周期的な振る舞いが表現できることを示した.また,軌道が擾乱を受けたとき,その安定性が曲率テンソルで表されることを述べた.さらに,電磁流体の乱流運動と力武ダイナモ系のカオス挙動との関係を位相不変量(Chern-Simon数)によって議論した.このフィンスラー空間上のKCC理論は,地震波線や気象分野のローレンツカ学系・生態学のロトカ・ヴォルテラ方程式・散逸系のベロウソフ・ジャボチンスキー方程式などにも適用することができ,様々な非線形力学系が同じ微分幾何学的表現で捉えることができることを論じた. 以上の研究成果は国際学術雑誌(ISI登録誌)に報告されている.また,国際・国内学会における発表によって様々な議論を行うことができた.
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Research Products
(10 results)