2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織での脂肪新生・血管新生の可視化によるメタボリックシンドロームの病態解明
Project/Area Number |
06J52201
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 智 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特別研究員
|
Keywords | メタボリックシンドローム / 肥満 / 慢性炎症 / 分子イメージング |
Research Abstract |
心血管イベントのリスク要因として、内臓肥満とインスリン抵抗性を基礎とするメタボリックシンドロームが注目されている。内臓肥満は慢性炎症に伴い脂肪組織の再構築(リモデリング)と機能異常を引き起こすと考えられているが、その詳細は不明であった。我々は「生体内分子イメージング手法」を開発し、生体内の脂肪組織の構築と細胞動態の可視化に成功し、リモデリングの詳細と背景にある分子機構を明らかにした。 本手法を用いた肥満脂肪組織の検討では、肥大した脂肪細胞とともに新たに小型脂肪細胞分化を認め、周囲には活性化マクロファージの浸潤と血管新生を伴っていた。VEGF中和抗体により血管新生を阻害したところ、脂肪細胞分化も抑制され、内臓肥満とインスリン抵抗性病態が改善した(2007 Diabetes)。一方、肥満脂肪組織の微小循環の検討では、白血球・血小板の血管壁でのadhesion及びrollingの増加が認められた。血管内皮及び白血球の接着分子の発現が肥満により増加しており、脂肪組織局所での血小板の活性化も寄与していた。肥満脂肪組織ではこれらの炎症性の細胞動態とともに、血管内皮透過性の亢進・線維化といった炎症の特徴も満たしており、肥満脂肪組織が正に炎症の場であることが示された(2008 J Clin Invest)。肥満脂肪組織ではマクロファージ浸潤に加えてT細胞分画の異常も認められ、肥満脂肪組織リモデリングへの免疫異常の関与が示唆された。本手法により生体内の組織構築に加え、細胞動態・血管機能等のダイナミックな変化を捉える事が可能になり、肥満に伴う脂肪組織リモデリングと慢性炎症の関与が明らかになった。 研究代表者は、多数の国際・国内学会発表を精力的に行っており、今年度だけでも日本循環・器学会YIAをはじめ13もの学会表彰を受け、学会での評価も非常に高い。研究テーマを拡げつつあり、特別研究員としては抜きん出た成果を挙げている。
|
Research Products
(29 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Vascular malfunction and inflammatory cell dynamics in obese adipose tissue revealed by in vivo molecular imaging (Young Investigator's Award 最優秀賞)2008
Author(s)
Nishimura S, Manabe I, Nagasaki M, Seo K, Hosoya Y, Yamashita H, Ohsugi M, Tobe K, Kadowaki T, Nagai R, Sugiura S.
Organizer
第72回日本循環器学会
Place of Presentation
福岡
Year and Date
20080328-30
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-