2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J52232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
當山 清彦 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 強相関電子系 / 半導体2次元電子 / シリコン・シリコンゲルマニウム / ウィグナー結晶 / スピン密度波 / サイクロトロン共鳴 / 金属絶縁体転移 / 量子ホール効果 |
Research Abstract |
平成18年度は、半導体表面・界面の強相関2次元電子がもたらす多彩な量子相の探求・解明に向けて、強相関かつクリ「ンな2次元電子が実現するシリコン・シリコンゲルマニウムヘテロ構造に着目し、試料作成方法を確立、予備実験において重要な現象の観測まで至っている。 まず、強相関の効果を探求するに当たり第一に重要なのは、同効果をかきけす可能性がある不純物や界面粗さなどの不規則性を低減することである。そこで世界トップレベルの半導体結晶成長技術を持つ武蔵工業大学シリコンナノ科学研究センターから良質なシリコン・シリコンゲルマニウムヘテロ構造のウェハを入手した。シリコンウェハの微細加工プロセスを新たに確立し、極低温・強磁場において電気伝導測定を行うことのできる試料を作成した。 次に、入手したウェハの極低温における移動度・磁気抵抗などを評価し、狙い通り不規則性の少ない2次元電子の実現する試料が得られたことを確認した。特に、シリコンとしての世界最高移動度を実現する試料も得られたが、これは新奇量子相の発見を大いに期待させるものである。 現在は、移動度の最も高い試料を中心に、様々な予備実験に取り組んでいる。ウィグナー結晶の実現を確認するためのサイクロトロン共鳴実験を行い、従来以上の強相関の領域でも共鳴信号を検出し、同結晶の確認にさらに一歩近づいた。また強磁場中でアップ・ダウン両スピンのランダウ準位が交差する状況において、電気抵抗が磁場に平行な方向と直交する方向とで2ケタ以上異なる現象を観測した。強相関誘起のスピン密度波の可能性から大変注目されてきた現象だが、これまで実験報告は1例のみであった。今後同現象の詳細な研究を推進することでその起源を明らかにできると考えている。
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