2006 Fiscal Year Annual Research Report
走査トンネル分光顕微鏡法による超伝導渦糸ダイナミクスの実空間高時間分解能測定
Project/Area Number |
06J52362
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
内山 和治 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 第二種超伝導体 / 渦糸状態 / 渦糸ダイナミクス / 走査トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究において我々は、、第二種超伝導体YNi_2B_2Cを試料とし走査トシネル分光顕微鏡法を用いて、超伝導渦糸ダイナミクスを実空間・実時間で測定した。渦糸ダイナミクスは「マクロな物体の摩擦を伴う運動」という一般性を持った物理現象であり、それを実空間で測定し微視的に解明することは、共通した背景を持つ他の物理現象の研究にも大きな寄与を持つ。 測定は極低温0.45K、高磁場1〜4Tにおいて行った。温度、磁場ともに、渦糸ダイナミクスを実空間測定した実験例が無い未知の領域である。測定範囲は最大で500nm四方であり、1Tを超える高磁場では数百個の渦糸を一枚の画像の中に捉える。さらに測定時間は一枚当たり約10秒まで短くし、渦糸の動きを高時間分解能で測定可能となった。渦糸を駆動する際には、外部磁場を0.2[T/hour]の一定レートで変化させた。磁場を上げると渦糸は試料中心へと運動する。その様子を走査トンネル顕微鏡で直接観測した。 渦糸は集団として揃って運動していた。運動は磁束クリープであり、一回の移動は渦糸の大きさ程度(〜数nm)であった。極低温高磁場において渦糸格子は高密度の刃状転位を有し、転位のすべり面を境界としてずれ変形を示した。この観測結果から、渦糸格子は転位のすべり面を境界とする"渦糸集団"に分かれて運動することを明らかにした。渦糸ダイナミクスの運動単位である渦糸集団を実空間で観測したのは、この実験が初めてである。さらに、渦糸集団のサイズ、渦糸集団の境界の性質、などに関して磁場依存性を含めて測定した。
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Research Products
(1 results)