2006 Fiscal Year Annual Research Report
国家間の関係が密接な状況下で,先進国・途上国ともに発展するために望ましい経済政策
Project/Area Number |
06J52452
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小黒 曜子 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 貿易 / 為替レート / 産業内貿易 |
Research Abstract |
平成18年度に最も力を入れた研究は、為替政策の輸出への影響についてであり、それは"Trade Sensitivity to Exchange Rates in the Context of Intra-Industry Trade"としてまとめ上げることができた。現在、世界では貿易不均衡に対する議論が高まっており、特に中国の対米、対日不均衡は関心を集めている。通常は、輸出国の為替が強くなると、輸出は減少すると考えられており、中国への元切り上げへの圧力が存在する。本論文では、ある状況下においては為替の輸出への影響は小さくなるのではないかと考え、その例として産業内貿易という状況について検証した。産業内貿易とは同じ分類の財の双方向取引であり、貿易相手国の財の競争力に、輸出財の為替レートに対する弾力性は影響されると予想できる。発展途上国の経済発展に伴い、技術水準が先進諸国に近づくことにより、産業内貿易の役割は重要となる。ここでは、製造業の内の6産業を取り上げ、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、米国のEU、アジア、日本、北米との貿易を産業ごとにパネル推定した。実証分析の結果、輸出国の為替の強化に伴う輸出の減少は、産業内貿易の度合いが高いほど緩やかになる、という結論が得られた。本論文の結果は、産業内貿易が盛んな状況下での、貿易不均衡の改善を目的とした為替政策に疑問を投げかけるものである。
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Research Products
(2 results)