2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J52492
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鈴木 俊輔 University of Toyama, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 十全大補湯 / TLR / TAK1 / HTLV-1 / Tax |
Research Abstract |
本研究は漢方薬である十全大補湯の免疫賦活化作用のメカニズムを明らかにすることにより、臨床における漢方薬の有用性をより高めようとするものである。昨年度、十全大補湯によるマクロファージからのサイトカイン産生亢進効果は、十全大補湯の構成生薬に含まれる四物湯あるいは四君子湯だけでは再現できないことを明らかにした。そこで、本年度はサイトカイン産生に重要なTLRシグナルに着目し、十全大補湯によるシグナル制御の可能性を検討した。具体的には、各TLRを恒常的に発現しているHEK293由来の細胞を用い、各リガンド依存的な細胞内シグナル活性化に対する十全大補湯の効果を調べた。まず、リガンド刺激に対するシグナル応答を調べた結果、TLR3を発現する細胞がコントロール細胞に対して顕著なシグナルの誘導が見られた。そこで、このTLR3依存的なシグナル誘導に対する十大補湯の効果を調べた結果、直接的なシグナルの増強あるいは抑制といった効果は認めなかった。そのため、今後マイクロアレイ解析によって、サイトカイン産生機構に関わる十全大補湯依存的な遺伝子候補を探索する必要がある。 自然免疫・リンパ球活性化に関わる重要なシグナル分子TAK1 MAP3Kについての研究を行った。その中で、ヒト成人T細胞白血病ATLの発がん機構におけるTAK1の役割について解析を行い、原因ウイルスであるHTLV-1由来の発がん遺伝子産物TaxによってTAK1が恒常的に活性化していることを明らかにした。さらに、恒常的に活性化したTAK1はMAPKsであるp38、JNK1/2を恒常的に活性化し、JNK(特にJNK1)を介してさらに下流の転写因子ATF2を活性化することを明らかにした。今後、感染細胞におけるTAK1の生理学的な役割を解析することにより、TaxによるATL発症の解明に大きく貢献できるものと期待される。
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Research Products
(5 results)