2006 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシア海洋大陸における降水特性の時空間的変動機構
Project/Area Number |
06J52572
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
市川 裕樹 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 降雨機構 / 日周変化 / マッデン-ジュリアン振動 / インドネシア海洋大陸 / 熱帯降雨観測衛星 |
Research Abstract |
地球大気の熱源域であるインドネシア海洋大陸域における降水活動の時空間特性を明らかにすることを目的として研究を行った。特に、この地域に卓越する二つの顕著な変動成分である日周変化と季節内変動がどのように相互作用して、地域全体の対流・降水活動を作り上げているかに着目して調査を行った。解析に際しては、熱帯降雨観測衛星(TRMM)により得られた高解像度な降水量データを用いた。 世界一の暖水海域に無数の島々が広がるこの特異な地域では、降水日変化が非常に卓越しており、日中〜夕刻にかけては島上で、深夜〜早朝にかけては近海域で降雨がもたらされる。顕著な海陸コンラストによって特徴づけられるこの平均的な日周変化は、大規模な大気循環場の変動に伴い変調する。特に、マッデン-ジュリアン振動(Madden-Julian Oscillation ; MJO)と呼ばれる30日〜60日の周期で熱帯赤道域を東進する季節内擾乱の通過に伴う対流圏下層の東風期・西風期の出現に関連し、島々の降水日変化は島の風下側へ伝播するという系統的な変化を示すことがわかった。 このような島々の日周変化が、実際にMJOに関連した大規模な季節内擾乱が海洋大陸上を通過するときに、どのような変動を示すのかをさらに調べた所、これらの伝播性日変化がMJO擾乱の内部構造として内在していることがわかった。特に、MJO擾乱の中心が島々を覆い、下層から中層で西風が顕著になると、東進する伝搬性日周擾乱が卓越する。この日周期性の擾乱群は、実質的に海洋大陸域におけるMJO擾乱そのものの移動および発達を担っており、島々の顕著な日周変化が能動的に働くことにより大規模なMJO擾乱は複雑に分布した島々の間を通り抜けていくことがわかった。
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