2006 Fiscal Year Annual Research Report
心停止ドナーからの肺移植における、ドナー肺の評価とその保護に関する研究
Project/Area Number |
06J52612
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陳 豊史 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 肺移植 / 肺障害 |
Research Abstract |
心停止ドナー(NHBD)からの肺移植の真の実用化までには、臨床に近い大動物モデルを用いた保護効果の検討、大動物モデルにおける肺傷害の簡便な評価法の確立、更に有用な保護物質の検索、吸入効率の更なる改善、等が必要である。NHDB肺の機能を移植前に正確に評価することは、移植後のprimary graft failureを未然に防ぐという意味でも非常に重要である。さらには、吸入による薬物投与や、ナノパーティクル粒子の運搬体としての利用など、温虚血による肺傷害を軽減する手法等を開発することで、マージナルドナーを含めた傷害肺の有効利用が可能になる。 申請者の研究成果を報告する。(1)申請者は、平成18年4月から1ヶ月間、大動物ex vivoモデルを使用し研究を行っている施設(ベルギー国Leuven大学)に滞在し、当モデルを充分に理解し、現在、類似モデルを検討中で、ミニブタを用いたプロトコールを作成中である。われわれのプロトコールでは、ex vivoモデルで肺を評価した後に、肺移植を行うという予定であったため、ブタ肺移植の技術の習得のため、2006年8月から10月にかけて、カナダトロント大学にフィールドワークとして訪問した。臨床肺移植全般の見学、ならびに、ex vivoブタモデルとその後の肺移植の実験に参画し、肺移植における臨床・基礎研究において充分な研修を修めた。(2)ratのex vivo潅流モデルで保護効果を認めたisofluraneやsalmeterol xinafoateの有効性については、紙上発表、学会発表を行った。また、さらに優れた肺保護作用を有する薬剤を検索中で、その結果をまとめ、来年度以降に学会発表する予定である。(3)小動物モデルおいて、beta-galactosidaseを内包したCHPの吸入を行い、吸入後の肺をX-gal染色することで、CHP吸入による肺内での薬剤の到達範囲や効率について検討した。その後、CHP提供元の研究機関と共同して、CHPを運搬体(新しいDDS)とした吸入を行い、その吸入効率を詳細に検討中である。
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Research Products
(5 results)