2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J52622
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 拓三 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 代数幾何 / ファノ多様体 / 有理連結多様体 / 有理性問題 / 高次元代数多様体 |
Research Abstract |
本年度は、修士課程のときに発見した課題を発展させることに成功した。修士課程のときには、重み付き射影空間の3次元超曲面(重み付き超曲面という)で、その反標準因子が豊富であり、高々端末特異点しかもたず、非有理的であるものを構成した。本年度に入り、重み付き超曲面がもう少し悪い特異点をもっことを許せば、さらに多くの非有理的な例を構成できるのではないか、と考えそのことについて研究を行った。 その結果として、3次元以上の一般次元重み付き超曲面で、その反標準因子が豊富であり、高々ログ端末商特異点しかもたず、非有理的であるものを構成した。さらに、そのような重み付き超曲面の族が、次元を固定して、無限に存在することが証明できた。 高々ログ端末特異点しかもたず、反標準因子が豊富であるような多様体(Q-Fano多様体)は、有利連結多様体であることが知られている。したがって、今回の結果は、有利連結多様体の有理性問題ととらえられる。有理的な多様体は最も基本的な代数多様体の一つにあげられるわけであるが、3次元以上において、その特徴付けは困難であるとみなされている。一方で、有理連結多様体のクラスは、有理多様体ののクラスを含み、代数多様体の双有理分類において重要な役割を果たしている。今回の結果は、その二つのクラスの差異、あるいは非有理的なQ-Fano多様体の存在を認識するという意味において一つの役割を果たすものと考えている。 現在、論文をまとめ終え、投稿申請を完了したところである。
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